新生活開始で特に一人暮らし女性に知ってほしい防犯対策 インスタの落とし穴、フードデリバリーにも注意を

女性の一人暮らしはしっかりと防犯対策を ※画像はphotolibrary

4月は新生活のシーズン。新しく住む街や新たな出会いに新鮮な気持ちを抱くもの。そんな中、気をつけたいのは女性の一人暮らしだ。その理由はやはり安全面の不安だが、そこでの“落とし穴”は、今や生活に欠かせないスマホとSNSにあるという。

人々の暮らしに欠かせないツールとなったSNS。しかし、少し覗いてみるとそこには《○○に旅行中です》《○○に来た!》など、投稿者の“今”が明らかになるものばかり。そんなSNSへと投稿される情報は、テキストにとどまらない。何気ない気持ちで投稿した写真から自宅や勤務先のエリアが特定され、付きまとい被害に遭う可能性も少なくないという。新生活におけるスマホやSNS利用で、気をつけるべきポイントはどこにあるのか。

日本初の女性防犯アドバイザーで、防犯対策専門家の京師美佳さんによると、「まず気をつけたいのは、位置情報」だと言う。

「SNSが身近になり過ぎた今、その先に広がるリスクを考えずに、利用者はさまざまな個人情報をアップしがちなんですよね。たとえば、新生活では家の周辺にあるお店や風景などは目新しく、日常生活の行動範囲で目に映ったものをどんどんインスタグラムにアップしたくなるのかもしれません。ただ、その際、まず位置情報には十分気をつけましょう。

今はスマホで撮影した写真をそのままSNSへと投稿する場合、大手のSNSでは自動的に位置情報はオフになるはずです。しかし、デジカメで撮影した写真やメール添付の写真などをSNSへと掲載するときには、位置情報が残っている場合があります」(京師さん)

■瞳の景色で自宅が特定! 防犯専門家が講じている「対策」は

スマホの位置情報をオフにしておくことは防犯対策を行なう上で、基本中の基本だという。前出の京師さんによれば「SNSへと上げる写真は撮影範囲や映っているもの」にも気をつけたいとのこと。

「周りの風景はもちろん、ビルやお店の看板、電柱に貼られた住所など、その場所を特定できる情報はいくらでも写っています。現に2019年には、瞳の中に映った景色で自宅を特定され、襲われた女性もいたほど。今はスマホのカメラも高解像度ですから、わかりやすい文字情報でなくても、窓やショーウィンドウに映った景色から住所を割り出されることだってあり得ます」(前同)

その他、投稿写真に何気なく映り込んだ道路上にあるマンホールや部屋の壁紙、飲食店のメニューといったものから、SNS利用者の写真撮影場所が特定されることも。

「自分では、誰かのSNSへの投稿写真を見て場所の特定なんてできなくても、ネット上には詳しい人がたくさんいるのです。自分とネット上の向こうの人が“同じ”感覚でいると思わないことです」(同)

そんな京師さんもSNSを利用はするが、写真を上げる際のテクニックとして「写真を縮小して、画像をやや粗くし、リアルタイムで上げない」ことが大切だと説く。

「“○○カフェでランチ中”とか、“今ハワイにいる”といったことをリアルタイムであげてしまうと、そこに行けば会えるんだなと思われてもおかしくありません。また、逆に自宅にはいないと宣言しているようなものです。付きまといに“こちらに来てください”、あるいは”泥棒に留守ですよ”って言ってるようなもの。SNSへの投稿はすべて事後報告を推奨します」(同)

■ネット通販、フードデリバリーにも注意

その他、スマホ利用という点で、京師さんは「ネット通販やフードデリバリーにも注意が必要」と警鐘を鳴らす。

「フードデリバリー大手であるウーバーイーツの配達員が食事を届けた女性の自宅へと後日、訪問するといった手口があちこちで報告されています。たとえ、住所がすでに割れている通販やデリバリーでも、なるべく部屋の前へは配達員を近づけないこと。ネット通販や宅配便は可能な限り、宅配ボックスを活用する。フードデリバリーでも部屋の前まで持ってきてもらうのではなく、正面玄関の下で受け取るなどの対策が必要です」(前出の京師さん)

位置情報のオフ、映り込むものへの注意、リアルタイムで更新しない、自宅に近づけない――。自身が快適に暮らすために、自分の個人情報はしっかりと守りたい。

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