平均月55万円だが…40歳サラリーマン「部長に昇進、おめでとう!」と祝福を受けるも、罪悪感を覚える「給与額」

厚生労働省から令和5年の『賃金構造基本統計調査』の結果が発表され、最新の会社員の給与事情が明らかになりました。今回は役職者の給与事情をみていきましょう。

非役職者の3割が「管理職にはなりたくありません!」

今年の春闘は満額回答が相次ぎ、いよいよ給与アップの機運が高まっています。とはいえ、サラリーマン個人の給与アップとなると、定期的な昇進・昇給を目指すという大方針に変わりはありません。

とはいえ、昇給は誰もがしたいものの、昇進は誰もがしたいとは限りません。「なぜ、このタイミングで?」とか「今の立場でまだやりたいことがある」などの理由のほか、「そもそも出世したくない」という人も珍しくはありません。

エン・ジャパンが行った「管理職への意向」についてアンケート調査によると、非管理職者に「管理職に就くことに興味があるか?」と尋ねたところ、「はい」は70%。男女別にみると、男性77%、女性61%と、男女差はあるものの、管理職への昇進に意欲をみせる人が多数派。一方で、3割の人は「管理職への昇進に興味なし」という姿が浮き彫りになりました。その理由を尋ねると、最多は「時間的な負担が重くなりそうだから」で6割弱でした。

【管理職への昇進に興味がない理由】

・時間的な負担が重くなりそうだから…59%

・大きな責任を負いたくないから…52%

・自分の能力に自身がないから…39%

・報酬面でのメリットが少なそうだから…38%

・部下の育成やマネジメントに興味がないから…23%

・現在の仕事で専門性を高めていきたいから…23%

確かに、管理職の人たちがこれらの理由をみたら、「負担は大きいよな……」「残業は多くなった……」などと、昇進を目指さないことにも納得できるのではないでしょうか。それでも責任が重くなる分、給与アップも期待できるので、天秤にかけたら「昇進」に軍配があがる人が多数派でしょう。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、非役職者のサラリーマン(平均年齢41.5歳)の平均給与は月収で31.19万円、年収で511.20万円。

平均45.5歳で係長になると、月収38.23万円、年収657.08万円。145万円の昇給を果たします。

平均49.2歳で課長になると月収50.07万円、年収815.46万円。158万円の昇給を果たします。

平均52.9歳で部長になると、月収60.4万円、年収956.59万円。141万円の昇給を果たします。

40代サラリーマンが部長に昇進「平均55万円」の月収だが…

サラリーマンでも部長にまで昇進すれば、年収1,000万円に手が届きそうになる……俄然、やる気になったのではないでしょうか。

――昇進、おめでとうございます!

――あっ、ありがとう……

42歳で部長に昇進した同僚を祝福しようと、行きつけの居酒屋に集まった仲間たち。平均よりも10歳も若い部長の誕生に、一緒に働く人たちも少々浮かれ気味。若くして昇進した存在は、希望であり目標になります。お酒が進むと、聞きにくいこともズバリ聞いてくる人も。

――結構、給与もあがるんですか?

――まあ、多少は

――いいな、夢があって

40代の前半の部長であれば、平均月収55.54万円、年収872.14万円。非役職者との給与差は、月収で20万円強、年収で300万円強にもなります。しかし昇進・昇給を果たした当の本人は、少々気まずそうな顔。

――部長といっても月収40万円もないし……

――本当であれば夢をみさせてあげたいが……何とも申し訳ない

昇進を祝福してもらいながら、なぜか後ろめたい気持ちになる給与額。部長職の給与(月収)分布をみていくと、中央値は47.09万円。上位10%になると月収87.55万円ですが、前出のサラリーマン部長のように「月収40万円以下」と、平均的な非役職者とそれほど給与が変わらない部長は、部長職全体の15%ほどになります。

――責任が増えてばかりで、給与は全然増えていかない

思わず「可哀そう……」と言ってしまいそうな“部長”は結構な数にのぼります。そんな状況を知ったなら、ますます「管理職にはなりたくありません!」という人が増えそう。とりあえず、今いる会社で本気で昇進を目指すかどうか、管理職の給与額を探ったほうがいいかもしれません。

[参考資料]

エン・ジャパン『管理職への意向調査』

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

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