戸惑う外国人観光客「避難指示の日本語分からない」 津波警報が出た沖縄 避難指定所の那覇商業高、教諭ら自主的に対応

那覇商業高校に避難した外国人観光客。日本語が分からず心配そうにベランダから外の様子を眺めていた=3日午前9時59分、那覇市(竹花徹朗撮影)

 台湾付近で発生した地震の影響で3日、沖縄本島地方や宮古島・八重山地方に津波警報が出た。観光で来県していた外国人からは「避難指示の日本語が理解できない」などの声が相次いだ。英語版のニュースを放送したり、英語でアナウンスする避難所もあった。(社会部・玉城日向子、玉那覇長輝、知念祥吾、真栄里泰球、政経部・大川藍)

 那覇市の指定避難所となっている那覇商業高校には午前9時半ごろ、外国人観光客50人ほどが集まった。教諭らは自主的に津波に関する 英語版ニュースを流したり、英語で案内したり臨機応変に対応した。

 同校に避難したオーストラリア人のトニ・ピーターズさん(66)は「津波は初めての体験。防災無線や警察のアナウンスは日本語で何のことか分からず、テストかと思った。いつまでここにいればいいのか」と戸惑った様子だった。

 那覇空港でも困惑する外国人の姿が。台湾新竹に住むインド人のシルパ・ランジットさん(30)は、夫と1歳の娘と家族3人で旅行中だった。滞在先の北谷町のホテルで地震を知り、屋上で2時間待機。「台湾の友人の安否が心配だったが、SNSで無事が確認できてほっとした」と語った。

 フランス人のローラン・ブラムバーグさん(58)は「空港の案内は大部分が日本語で、現地の情報が把握できなかった。英語を話せる人も少なく、航空会社の職員としかコミュニケーションできなかった」と表情を曇らせた。

 那覇市のタイムスビルにも午前10時半時点で観光客や住民など約40人が避難。スマホで情報を検索するなどしながら、不安そうに待機していた。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB、下地芳郎会長)は外国人観光客への対応として、運営する外国人向け情報サイト「VISIT OKINAWA JAPAN」に、台湾などで使われる繁体語と英語で津波災害情報を掲載し、情報の周知に努めた。OCVBは2018年に県と災害時の観光危機管理に関する協定を結び、観光客の安全確保に向けた役割を確認していた。

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