八王子のふるさと料理 文化庁 100年フードに 地域で継承する食に認定 八王子市

試食会で参加者と「ふるさと料理」を味わう初宿市長(左)

八王子の里山や畑で収穫される地場食材を使ったり、地域の歴史文化に触れられる「桑都・八王子のふるさと料理」が、文化庁が認定する「100年フード」の2023年度の対象に選ばれた。ふるさと料理は、市内の学校給食でも提供されている。

100年フードは、日本の多様な食文化の継承や振興を目的に、文化庁が地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定し、100年続く食文化として継承していくことを目指すもの。これまでに全国で250件の食文化が認定され、認定団体の活動がメディアで取り上げられたり、ロゴマーク入りの商品が販売されるなどの展開を見せている。伝統(江戸時代から続く郷土の料理)、近代(明治・大正に生み出された食文化)、未来(目指せ100年)の3部門があり、八王子のふるさと料理は未来部門で認定された。

学校給食で提供

八王子のふるさと料理には、古くから伝わる地場野菜を使った混ぜご飯の「かてめし」、養蚕が盛んで桑都と呼ばれたことにちなみ桑の葉を使用した「桑都焼き」や、そうめんを絹糸に見立てた「絹のお吸い物」などがある。市では子どもたちに地域の歴史文化や伝統を伝え、郷土に愛着を持ってもらおうと、地元生産農家の協力を得て、学校給食でふるさと料理を提供してきた。市の公共施設やホームページなどでレシピも配布・公開しており、市学校給食課は「今後もふるさとの食文化として受け継ぎ、家庭や地域に広めながら、桑都・八王子の誇れる文化を未来につむいでいきたい」と展望する。

試食会で紹介

100年フード認定を記念して、3月23日に楢原町にある学校給食センター楢原で調理室の見学と、ふるさと料理の試食会が催された。

5000食の調理能力を持ち、近隣の11校へ給食を提供している同センター。この日は家族連れなど多くの来場者が訪れて、普段入ることができない調理室で調理を疑似体験し、試食会場でふるさと給食を味わった。

提供された献立は、かてめし、桑都焼き、絹のお吸い物など。祖母の白石百合子さん(70)と試食会に参加した志村亜衣さん(松枝小6年)と未央さん(同小3年、いずれも当時)姉妹は「給食で食べたことがあるけれど、やっぱりおいしい」と笑顔を浮かべ、それぞれのお気に入り料理を百合子さんに薦めていた。

試食会には初宿(しやけ)和夫市長も参加して、ふるさと料理を初体験。「歴史ある八王子には、食の文化もあることを知った。これまでつないでいただいた皆様に感謝し、さらに次の世代にもつむいでいきたい」と話した。

市内の学校給食センターでは不定期に試食会を開催しており、今後もふるさと料理を提供する機会がある。試食会の情報はセンターの公式インスタグラムで確認を。

100年フードの認定証を手にする担当課職員

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