いすゞが新中計、自動運転事業化や85万台販売で営業益6千億円

いすゞ自動車は、2030年度の連結売上高6兆円・営業利益6000億円(23年度業績予想3兆4000億円・2800億円)を目指す中期経営計画を4月3日、発表した。27年度以降のレベル4自動運転のトラック・バス事業を推進するなど、「商用モビリティソリューションカンパニー」として、業績の大幅な伸長を図る。

3領域の新事業を推進、27年度にレベル4自動運転

「自動運転ソリューション」「コネクテッドサービス」「カーボンニュートラルソリューション」の3領域で事業化を図り、30年代に売上高1兆円規模を目指す。これらの新技術に総額1兆円規模を投じる方針を表明済み。

「自動運転ソリューション」では、27年度にレベル4自動運転車両による高速・ハブ間物流や市街地の路線バス事業を日本・北米から開始する。24年3月に60億円出資を発表したティアフォーなどをパートナーとして技術・サービス開発を進める。26年度をめどに運送事業者・バス事業者と共同して実証を行い、事業化を図る。自動運転の専門組織を発足して事業化を検討し、中期的に数百人規模へ拡大する予定。

ティアフォー、いすゞ資本提携 路線バス自動運転システム開発で協業

ティアフォーは3月6日、いすゞ自動車と路線バス領域の自動運転システム開発を目的とする資本業務提携で合意したと発表した。いすゞがティアフォーに60億円を出資し、両社の知見を合わせて路線バスの自動運転システム確立を急ぐ。ティアフォーといすゞは路線バスの自動運転システムと事業開発に関する協業で合意...

「現行路線バスそのまま自動運転」に挑戦 “バスの街”平塚市の初実証

神奈川県平塚市は2月、初の自動運転実証実験を終えた。商業バス路線を、実際に運行している大型バスで走るという点で目を引く実証だ。市は、平塚駅から東京駅まで鉄道で60分足らずの首都圏に位置。だが、他の自治体と同様に、公共交通とりわけバス路線の維持が課題に上がる現状はある。市と、Level Ⅳ Disco...

「コネクテッドサービス」は、運送事業者や荷主の輸送効率を高めるサービスを提供し、商用車の情報基盤「GATEX」を利用して新サービスの創出も図る。また、EVの故障予測やEV導入サポートのソリューションを北米や他地域に展開していく。

「カーボンニュートラル(CN)ソリューション」では30年までに全てのカテゴリーでCN商品を用意。価格競争力を備えた新モデル投入やバッテリー交換ソリューションなど周辺事業の展開を図る。

30年度の新車販売17万台拡大

車両の販売事業はバス・トラック(CV=Commercial Vehicle)を中心に国内外で拡販し、30年度で新車販売85万台(23年度見込み約68万台)を目指す。「マルチパスウェイ」で商品とサービスを拡充し、いすゞ・UDトラックスの販売経路で展開。オンライン販売も強化する。また、海外でアフターサービス網を構築し、販売を後押しする。商品・技術の研究開発や生産拠点など既存事業の投資は30年度までに1兆6000億円を見込む。

「グローバルリーディングメーカーの土台整う」

いすゞは、前中計で23年度の売上高2兆8000億円、営業利益2500億円を目標としており、超過達成の見込み。「グローバルリーディングメーカーの土台は整った」と評価した。「絶えず柔軟に変革し続ける」意を込めて、新中計「ISUZU Transformation – Growth to 2030(IX)」を策定した。

※図表は全ていすゞの提供資料より抜粋

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