京都「穴場の絶景」30分ハイキング! 清水寺の4倍「大舞台」&「桜200本庭園」八坂神社の奥

観光客で賑わう京都八坂神社(写真:山本佐和)

京都市の東山区は、清水寺や高台寺といった有名な神社仏閣があり、多くの観光客で賑わう。観光地として世界的にも人気の高いエリアだが、実は気軽に楽しめるハイキングコースがあるのをご存知だろうか?

今回は京都の定番の観光地を出発し、穴場スポット「将軍塚青龍殿(しょうぐんづかせいりゅうでん)」を目指す、東山を歩くハイキングコースを紹介する。片道30分の低山ハイキングなので、初心者の方におすすめのコースだ。

■八坂神社の正門 南楼門(みなみろうもん)から出発

八坂神社の「南楼門」と石鳥居

スタート地点は、地元の人々から「祇園さん」や「八坂さん」という愛称で親しまれている「八坂神社」。京阪電車祇園四条駅から徒歩約5分、阪急電鉄京都河原町駅からは徒歩10分ほどの場所に位置する。八坂神社の奥にある円山公園(まるやまこうえん)も、お花見で有名な観光地だ。

八坂神社といえば、四条通りから見える大きな「西楼門(にしろうもん)」を思い浮かべる方も多いかもしれないが、今回は南に位置する「南楼門(みなみろうもん)」から出発する。実は南楼門が八坂神社の正門であり、神事の行列や神輿、婚礼などもこの門を通って行われる。

南楼門を正面に見て、右側の坂道を道なりに上っていく。先ほどの神社付近の賑わいが嘘のような静けさだ。5分ほど歩くと、右手に山へと続く石階段が見えてくる。

圓山稲荷の鳥居

階段を少し上ると、上の方にはひっそりと鳥居が佇んでいた。こんなところに神社があるとは、なかなか誰も気が付かないだろう。「圓山稲荷(えんやまいなり)」と書かれた看板には「土地の名にちなんで圓山と号す」とあったが、起源などには触れられていなかった。

■将軍塚道を登り、東山山頂を目指す

圓山稲荷の横を通り過ぎてしばらくすると「将軍塚道」と記された石碑を見つけた。この道を登っていき、東山山頂を目指す。

途中、急な階段を上りきるとパッと道が開けてお堂が現れた。「圓山聖天堂(えんやましょうてんどう)」といい、大聖歓喜天を祀っているそうだ。

圓山聖天堂に咲いていた桜

筆者が訪れたのは3月上旬で寒さも厳しかったが、早咲きの桜が可愛らしく咲いていた。こういった四季折々の移り変わりを感じられるのもハイキングの醍醐味である。

ここからは完全に山道に。何度か分岐点があるが、案内が立てられているので迷うことなく進める。「東山山頂公園」と書かれた方向を目指して登っていこう。

山道に人気は少ないが、時折「帰りのバスもタクシーもなくて……」と、将軍塚青龍殿を観光して降りてくる人たちとすれ違う。どうやら、登山道を通らない場合は帰りのタクシーを予約しておくのが安全らしい。

山道を歩いていると、お地蔵様の姿がちらほら。山の清々しい空気も相まって、緑に囲まれたお地蔵様の佇まいは神秘的だ。

■将軍塚青龍殿から京都市内を一望

将軍塚青龍殿の門

八坂神社を出発してから、約30分。山道を抜けて大通りに出ると、右には東山山頂公園の展望所、左には将軍塚青龍殿の門が鎮座している。東山山頂公園でほっと一休みしてから、青龍殿へ向かうことにした。

青龍殿は平成26年に建てられたまだまだ新しい京都の新名所で、国宝青不動を祀る建物である。ちなみに「将軍塚」という地名は、桓武天皇が都を定める際に、将軍の像を埋めて都の安泰を祈ったというのが由来だそうだ。

建物や庭園ももちろんだが、なんといっても木造の「大舞台」が一押しポイント。

踏み入れた瞬間に思わず「おぉ……!」と感嘆の声が漏れてしまう。この大舞台の広さは、清水寺の舞台の4.6倍というから驚きだ。木造でここまで大きな展望台を見るのは初めてで、圧巻であった。

京都市内を一望できる大パノラマ

そして、京都市内を端から端まで見渡すことができる大パノラマ。さらに庭園に隣接した西展望台からは、京都市のみならず大阪近郊まで遠望できる。

庭園には約200本の桜が植えられており、春にはライトアップも行なわれている。桜と京都市内の展望を同時に眺めることができる数少ないスポットなので、この春ぜひ訪れてみてはいかがだろうか。

■下山後は、観光名所を散策して帰路に

円山公園で婚礼の撮影が行われていた
八坂神社付近で見かけた団子屋さんで

ひとしきり青龍殿を満喫し下山してからは、円山公園や八坂神社付近をのんびりと観光。さらに屋台から由緒正しき料理屋さんに至るまで、ハイキングで空いたお腹を満たすにも十二分な街である。

桜の季節、お花見で賑わう京都の街。有名な観光地はもちろん、街の喧騒から離れた穴場スポットも併せて楽しんでみてはいかがだろうか。

●施設名 将軍塚青龍殿

・住所:京都府京都市山科区厨子奥花鳥町28

※この記事の情報は2024年3月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。

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