盗塁死も想定内「アウトになってもええ」 逆転勝ちを呼び込んだ“岡田のタクト”

DeNA戦で指揮を執った阪神・岡田彰布監督【写真:橋本健吾】

1点を追う6回に森下が左翼席へ特大の2ランを放ち逆転

■阪神 5ー2 DeNA(3日・京セラドーム)

阪神は3日、京セラドームで行われたDeNA戦を5-2で勝利した。1点を追う6回に森下が値千金の逆転2ラン、8回には近本が1号ソロと効果的な一発で逆転勝ち。序盤は相手先発・浜口に苦しめられたが、試合の流れを変えたのは岡田彰布監督の積極的なタクトにあった。

岡田監督が動いたのは2点を追う4回。先頭の近本が左前打で出塁すると、続く中野の打席で盗塁のサインを送った。結果的にアウトになったが、その後は中野、森下、大山の3連打で1点を返した。3回まで左腕・浜口に完全投球を許す展開も、ベンチが“あえて”動き流れを変えた。

「3回まで全然やったもんな。点が入ると全然、違う展開になる。そういうことやろ? 今日も(浜口の)クイックは速いけど、無理やり走らした部分あるけど。動かんとなかなか躍動しないよな」

この試合、初めて出塁し、本来なら二盗失敗で嫌なムードになるところ。だが、岡田監督の考えは真逆だった。近本の盗塁が不発に終わることも想定しつつ「アウトになってもええから、動かそうと思って。ジッとしても、なかなか今、1人1人がヒットでないから。動かないと躍動感というか、チームに勢いがつかんよな」と、意図を説明した。

一気に追いつくことはできなかったが、流れは変わった。6回は先頭・近本が四球を選び出塁。今度は中野が犠打を決め、確実に得点圏に走者を進めると森下が特大の一発を放ち逆転に成功。8回には近本のソロ、佐藤輝の右前適時打が飛び出しリードを広げた。

中盤から“一発攻勢”での逆転勝ちにも冷静に試合を分析した。「守りから、ちょっとリズムをつかんだみたいな。ホンマ、守り勝ちや今日はなぁ」。得点した直後、5回の守りでは1死一塁から石上が放ったゴロに遊撃・木浪が横っ飛びで好捕し併殺を完成させた場面を称えていた。

チームは投打が噛み合った勝利で開幕2カード連続負け越しを阻止。「まあ今の状態からいくとねぇ、ほんと3連敗しないというか。1つ1つ、勝てるゲームは1つずつ勝っていけばいい。ゆっくりできると言ったらおかしいですけど、ちょっと落ち着いてできると思いますね」。“単独最下位”から抜け出し、昨季の日本一球団が一気に巻き返しを狙う。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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