痛恨OG献上のルートン橋岡大樹、英国人記者が感心したプレーは?「何年もプレミアでプレーしているかのよう」【現地発】

4月3日、私はロンドンのエミレーツ・スタジアムで開催されたプレミアリーグ第31節のアーセナル対ルートンを取材した。

この一戦で、ルートンの日本代表DF橋岡大樹が先発したのは興味深い。24歳の彼にとって、プレミア優勝争い真っ只中のアーセナルとの対戦は大きな経験となるだろう。

試合前のウォーミングアップ時、仲間とのコミュニケーションの取り方を見ていると、橋岡がすでにチームメイトたちに愛されている選手であるのは伝わってきた。

ルートンは故障者が多いため、この日本人はこれまでの試合と同様に、主戦場とするウイングバックではなく3バックの一角でプレーせざるを得なかったが、板についてきたとも言える。

足もとの技術がしっかりしていて、ボールを持っていても、とても落ち着いているように見えた。ビルドアップでの配給も上手く、前に出て積極的に攻撃に絡もうとしているのが見て取れた。

また、感心させられたのは空中戦の強さだ。彼の身長は184センチで、このリーグではそれほど高いわけではないが、最終ラインで堂々と構えて、クロスやハイボールを次々と跳ね返した。

【動画】「OGになっちゃうのかー」「まじでかわいそう」の声!橋岡の不運なオウンゴール
しかし、ルートンは24分に先制点を献上。この場面では味方がボールを失い、カウンターを受けると、最後はマーティン・ウーデゴーに見事なシュートを叩き込まれた。橋岡は懸命にブロックを試みたが、彼にできることはあまりなかったと思う。

そしてハーフタイムの直前には2点目を与えた。エミール・スミス・ロウの折り返しが橋岡に当たってゴールに入り、オウンゴールとなってしまったが、これも彼を責められない。ルートンはそのまま0-2で敗戦。リーグ戦10試合勝ち無しだ。

橋岡は希望するポジションでのプレーではなかったかもしれないが、今のルートンの状況下でチームのためによくやっていたと思う。彼にとっては非常に悔しいゲームとなっただろう。しかし、全体的なパフォーマンスを見れば、すでに何年もプレミアでプレーしている選手かのように見えた。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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