【巨人】山﨑伊織の奮闘は鬼監督が去った効能 かつては交代拒否疑惑で大騒動も

七回、田中(奥)に同点打を打たれた山﨑伊織(C)共同通信社

巨人のエース候補が粘った。

2日、山﨑伊織(25)が敵地の中日戦で今季初先発。1点を先制した四回には、自らの左前打で2点目をもぎ取った。七回に同点に追い付かれ、7回7安打3失点で今季初勝利は逃したものの、五回まではわずか2安打に抑えた。

3年目の昨季は10勝5敗、防御率2.72で今季は戸郷に次ぐ準エースの位置付けで臨んでいる。

東海大4年時に右肘のトミー・ジョン手術を受けた。1年目は棒に振ると分かっていながら、ドラフト2位で指名された。「ケガさえ治ればドラ1クラス。絶対に取るべきだ」とのスカウトの推薦に加えて、最終的にゴーサインを出したのは東海大OBでもある当時の原辰徳監督(65)だった。

入ってみたら“先輩”は厳しかった。さるチーム関係者がこう言う。

「2年目に5勝を挙げて臨んだ昨春のキャンプで、コンディション不良と調整遅れを露呈。『一軍は全力で投げられない人がいるところではない。そんな甘い世界ではない』と即刻二軍落ちをさせられた。昨季は甲子園の阪神戦で8失点KOされた際、マウンド上で原監督に『実力が足りないのか。メンタルなのか。どっちなんだ?』と詰め寄られた。挙げ句、原監督にボールを渡すよう促されると、それを拒むようにボールを持った左手を引っ込めたことで、『交代拒否!』とSNSやネット上で騒ぎになった。後にテレビで釈明する事態になりました」

原前監督はかつては久保、現在の正捕手・大城など、東海大出身の選手には特に厳しかった。

「伊織はオレがオレがというタイプではなく、周囲との和を大切にする。だから東海大の先輩・菅野らにかわいがられている。ただ、優しい性格で、昨年までは萎縮しながらマウンドに上がっていた。阿部監督に代わった今年は、のびのびと投げられていることがオープン戦からの好調につながっているのではないか」(同前)

他球団スコアラーは「右打者の懐に食い込むシュートと逆の変化のスライダーの制球力とキレが抜群。縦の変化球全盛の時代に、横の変化で勝負する数少ない投手。腕の振りが同じだから判別できない」と警戒する。

巨人は延長十一回の末、サヨナラ負けを喫したが、“鬼の先輩”が去った今季は、昨季の10勝を上回る成績を狙う。

◇ ◇ ◇

阿部新監督率いる今季の巨人は例年にない期待感を漂わせている。特に打撃面でもそれが顕著だ。前原監督時代にはなかった攻撃時のしぶとさとはーー。

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