【落雷】背の高い人の方が危険?木の下は安全?貴金属の有無は関係ある? 過去には晴れたグラウンドでサッカー中に生徒死亡の落雷事故も 雷から身を守るには

3日午後、宮崎県で高校のグラウンドに落雷があり、サッカーの練習試合をしていた高校生1人が意識不明の重体となるなど18人が搬送されました。

当時、宮崎県内は前線が接近していた影響で、大気の状態は不安定で「雷注意報」が発表されていました。ただ、関係者は「落雷しそうな予兆は感じられなかった」と話しているといいます。

グラウンドへの落雷 過去には生徒死亡のケースも 青空が見えた中で…

学校のグラウンドに落雷して生徒が被害にあったケースは、過去、広島県でも起きています。1986年、福山市の中学校では、グラウンドでサッカーをしていた生徒が雷に打たれて死亡しました。当時、雨は降っておらず晴れ間も見えていたそうで、多くの生徒がグラウンドにいた中での落雷事故でした。

ゴロゴロ聴こえていれば、すでにそこは落雷の危険がある場所

自分のいる場所で雷を伴った激しい雨が降っている状況であれば、落雷に注意をしなければいけない意識は高まりますが、ゴロゴロと遠くで音が聴こえる程度だとそこまで注意がいかないかもしれません。

一方で知っておいてもらいたいのは、「雷の鳴る音が聞こえていたら、すでに自分のいる場所に雷が落ちる危険がある状況」だということです。

一般に雷鳴が聴こえるのは10キロほどの範囲ですが、一方で積乱雲の大きさは十数キロあります。雷鳴が聴こえる範囲よりも積乱雲の大きさの方が大きいため10キロ程度離れた場所に落ちて雷の音が聴こえていれば、次の雷は自分のいる場所に落ちる可能性は十分あることになります。

木の下は安全? 貴金属の有無は落雷のしやすさに関係ある?

雷は基本的には高い所に落ちやすい特徴があります。同じ場所であれば背の高い人により落ちやすいことがわかっています。

では雷から身を守るために、人よりも高い「木の下」に避難することは安全なのでしょうか?

雷は人より高い木に落ちたとしても、そのあとに人を直撃する「側撃(そくげき)」が起こりやすいことがわかっています。

これは人の方が木よりも電気を通しやすいため、雷が木に落ちたとしても、すぐ下に人がいれば、途中から人へと流れやすいことがわかっています。木のすぐ下に避難するのは非常に危険です。

では、ベルトや腕時計、アクセサリーなどの貴金属を身につけていると雷は落ちやすいのでしょうか。実験の結果では、雷の落ちやすさにアクセサリーなど貴金属の有無は関係ないことがわかっています。

建物・車がない場合 姿勢は低く 木や電柱の先から45度以上の角度に

落雷の危険がある場合は、すぐに建物や車などの安全な場所に避難しましょう。もし屋外でまわりに建物や車などの安全な空間がない場合は、電柱や鉄塔など高い物体のてっぺんを45度以上の角度で見上げる範囲で、4メートル以上離れた所にいるようにしましょう。姿勢はなるべく低くした方がより効果的です。

木の近くは危険なので、最低でも木のすべての幹、枝、葉などから2メートル以上は離れた場所にいるようにしてください。怪しい雲が見えたり雷の音がしたりしたら気象レーダーなども活用してうまくやり過ごしましょう。

落雷地点との距離は「光ってから音が鳴るまでの時間」

雷が落ちた地点と自分がいる場所がどれくらい離れているのか、大まかな距離は簡単にわかります。ピカッと光ってからゴロゴロと音が鳴るまでの時間に340メートルをかけた距離となります。340メートルは1秒間に音が伝わる速さです。光は瞬時に伝わるので、光と音の時間差が、落雷地点までの距離となります。

例えば、光ってから7秒後に大きな音がした場合、雷が落ちた地点までの距離は7秒×340メートルで2.4キロほど離れています。

光って3秒なら、およそ1キロ離れた場所に雷が落ちたことがわかります。

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