食事や運動...復興従事者の健康管理、広野「稲村屋」が支援事業

 宿泊施設などを運営する稲村屋(広野町)は、東日本大震災の復興工事などに従事する大手ゼネコン鹿島(東京)とともに、滞在する鹿島社員の健康管理を支援する事業を始めた。鹿島が遠隔管理システムで健康状態を把握し、稲村屋が適切な食事や運動環境を提供する。

 鹿島は遠隔地へ長期赴任する社員に、産業医による定期問診を行ってきたが、健康状態を常時把握に課題があった。

 一方、東日本大震災以前から社員を受け入れていた稲村屋は、滞在社員の健康増進への取り組みを模索していた。稲村屋運営企画室の飯田真一室長は「会社として元々、地域医療へ課題意識があった。長期滞在者の病気の予兆がいち早く分かれば、助かる命があると考えていた」と説明する。

 支援事業のイメージは【図】の通り。機器で計測したデータを、オムロンヘルスケアが開発したシステムを使って産業医や保健師が確認し、健康管理や指導を行う。

 稲村屋はゴルフ練習場や宿舎に隣接したジムを整備しており、健康的な食事とともに運動環境も提供する。飯田室長は「食事の楽しみを損なわないよう選択肢を増やす工夫をした」という。

 以前に大きな病気を経験して健康に気を遣っているという、鹿島現地工事事務所の奥野史雄副所長は「毎日計測することで数字が気になり、生活習慣を改める良い機会となった」と話す。鹿島担当者は「課題を確認しながら順次対象者を増やしたい」としている。

 飯田室長は「今後は管理栄養士が監修したメニューを導入する方針だ。さらに健康状態に応じて医師の診断が速やかに受けられる態勢も整える」という。

写真=機器を使って健康状態を測定する奥野さん(鹿島提供)

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