リニア前進に可能性 三重県知事「あると思う」 静岡県知事の辞職意向で

【臨時のぶら下がり会見で、川勝知事が辞職を表明したことへの所感を述べる一見知事=県庁で】

 静岡県の川勝平太知事が辞職の意向を示したことを受け、一見勝之三重県知事は3日、臨時ぶら下がり会見で報道陣の取材に応じた。辞職の理由となった発言は「職業差別につながりかねない。適切ではない」と指摘。静岡県知事の交代によってリニア中央新幹線の工事が前進する可能性は「あると思う」と語った。

 一見知事は会見で、川勝知事が辞職を表明したことに「正直、驚いた」とした上で、川勝知事の発言について「職業差別につながりかねない。適切ではないと言わざるを得ない」と述べた。

 川勝知事が水資源や生態系への影響を懸念して認めなかったリニア静岡工区への影響については「私どもが言及できる部分ではない」「事務方で積み上げたものもあると思う」などと語った。

 一方、静岡県知事の交代でリニア開業が早まる可能性について問われると「首長の判断は大きいので可能性としてはあると思う」と説明。「一日も早く(リニアを)開業してほしい」と述べた。

 また、政治家の発言に対する認識については、中国の格言「綸言汗のごとし」を取り上げて「政治家の発言はそれだけ重い。自覚を持ちながら対応しなければならない」と語った。

 川勝知事は1日、新規採用者への訓示で「県庁はシンクタンク。毎日毎日、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違い、基本的に皆さんは頭脳、知性の高い方」と発言した。

 2日には、訓示の真意を問う記者団に対し、6月議会で辞職する意向を表明。3日の記者会見では、自らの発言に加えてリニアの開業延期という「区切り」がついたことを辞職の理由に挙げた。

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