<地域と交通>「AI乗り合いタクシー」本格運行 「チョイソコからつ」高齢者の足に

チョイソコからつを使い、買い物に向かう利用者=唐津市肥前町のまいづる9肥前店

 人工知能(AI)を活用した唐津市の予約型乗り合いタクシー「チョイソコからつ」が昨年8月からの実証運行を終え、4月から本格的に運行を始めた。停留所を増やしたり、当日予約にも対応したりするなど利便性を高め、登録者数は増加。買い物や通院などで外出する高齢者の足として、存在感を高めつつある。

 チョイソコは、自動車部品大手「アイシン」(愛知県)が開発した運行システム。会員登録した利用者が電話やインターネットで指定された乗降場所を予約し、AIが効率的な経路や乗り合わせを割り出す。運行は昭和自動車(唐津市)が担い、料金は1回の乗車で300円(一部の区間は500円)。

 路線バスの代替として予約型乗り合いタクシーを運行してきた市が、厳木、七山の全域と相知、浜玉の一部で実証運行を始めた。独自の停留所を約80カ所新設し、スーパーがない厳木地区から相知地区のスーパーを利用できるようにした。開始前は703人だった登録者数は、2月末現在で1010人に増えた。

 車両は各地区に1台ずつ。これまでの予約型乗り合いタクシーは前日夕方までの予約が必要で、利用者は月平均76.8人にとどまっていた。チョイソコでは1時間前までなら当日に予約できるようにし、月平均123人まで改善した。市交通政策課は「当日予約ができるようになり、停留所が大幅に増えたことが利用者増の要因」とみている。

 路線バスの再編に伴い、4月からは肥前地区でも運行を始めた。同地区では既存のバス停に新規の停留所を97カ所加え、計154カ所で乗降できる。スーパーで買い物をするために利用した高串地区の女性(79)は「車を持っておらず、移動は全てバスだった。私が使う区間の料金はバスより高くなったが、週2回の買い物のためには欠かせない」と話していた。(松岡蒼大)

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