“逆ギレ”辞意表明の静岡県・川勝知事「6月辞職」の狡猾…敵対自民に「後継」渡さない魂胆

失言のたび糾弾され…(あらためて臨時会見をする静岡県の川勝平太知事=3日午後、静岡県庁)/(C)共同通信社

職業差別発言の釈明中に突如、辞意を表明してトンズラした静岡県の川勝平太知事(75)が3日、改めて臨時会見を開いた。辞職の理由について「一番大きかったのはリニア」と、JR東海がリニア中央新幹線の2027年開業を断念したのを重視。「大きな区切りを迎えている」と語ったが、固執してきた大井川の水資源問題の解決は道半ばだ。

1日の新入職員への訓示で飛び出した「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、物を作ったりとかと違って、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」との発言も辞職の理由に挙げ、「不十分な言葉遣いによって人の心に傷をつけた」と陳謝。ただ、発言が「不適切だとは思っていなかった」との持論を繰り返し、撤回はしなかった。

いずれも取って付けたような理由で、突然の辞意表明は「逆ギレ」に映る。

県政関係者は「県議会最大会派の自民党に嫌気が差したのでは」と指摘する。これまでも川勝知事は失言を連発。そのたび、過去4度の知事選で対立候補の支援に回った自民に糾弾されてきた。

「21年の参院補選の応援演説で、川勝知事が対立候補の地盤の御殿場市を『コシヒカリしかない』とコケにした発言を受け、県議会は自民主導で辞職勧告決議を可決。知事は辞職を拒み、自らペナルティーとして12月分の給与とボーナス返上を表明したのに、昨年夏に満額受給が判明した。反発した自民は議会で知事の不信任決議案を提出。可決にわずか1票足りず知事は難を逃れたものの、6月定例議会では今回の失言で、また追及されるのは必至でした」(静岡県政関係者)

川勝知事は3日の会見でも辞職時期について「6月定例会の冒頭でお許しを得て、お礼とご挨拶をする機会を得たい」と強調。「6月辞職」には狡猾さがにじみ出ている。

「知事は辞意表明直前、立憲民主党県連顧問の渡辺周衆院議員に後継を打診。6月なら国会も閉じ、次の知事選に出馬しやすい。また、6月20日告示の都知事選に日程をぶつければ『注目2知事選』とメディアの耳目も集まる。しかも、長年、敵対してきた自民にすれば『6月辞職』は想定外。任期満了の来年7月に照準を合わせ、候補者選定を進めていた。準備不足な上、裏金事件の逆風も収まらなければ勝ち目は薄い。自民に後継知事の座を絶対に渡さないためには、絶妙のタイミングです」(政界関係者)

とはいえ、唐突な知事投げ出しに県民からは「無責任」との批判が殺到。もはや「川勝後継」にもメリットはない。

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