【桜花賞】前走が東京、中山のマイル戦組は苦戦 データで導く「過信禁物の注目馬」

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桜の女王に輝くのは

4月7日、阪神競馬場では桜花賞(GⅠ)が行われる。牝馬クラシック最初のタイトルを掴むべく、今年も世代を代表する牝馬たちが激突する。

下馬評を見るにやや混戦の様相。人気馬にも絶対の信頼は置けず、取捨選択には注意をしたい。今回は過去10年(14~23年)における当レースのデータを基に「過信禁物の注目馬」を導いていく。

前走マイル組でも、関東圏からの転戦組は苦戦

前走の距離別成績では、1600m組が【9-10-8-86】勝率8.0%、連対率16.8%、複勝率23.9%で馬券に絡んでいるのはほとんどここ。これに対して、前走1400m組は【1-0-2-50】勝率1.9%、複勝率5.7%と振るわない。前走1800m組も【0-0-0-11】複勝率0.0%で1頭も好走馬が出ていなかった。

データを見る限り、同距離組が圧倒的に好成績で、馬券的にもこの組を中心視して良さそうだ。しかし、今年の当レースで上位人気が想定される馬は、軒並み前走マイル組だ。

そこで前走マイル組の成績を前走の場所別に分類する。すると、前走が阪神競馬場だった馬が【6-10-6-37】勝率10.2%、連対率27.1%、複勝率37.3%と好成績。同コースで行われる阪神JF、チューリップ賞で好走してクラシックへ挑んできた馬が当レースでも狙い目になる。

これに対して、前走が東京競馬場だった馬は【1-0-1-18】勝率5.0%、複勝率10.0%と低調。また、前走が中山競馬場だった馬は【0-0-1-26】連対率0.0%、複勝率3.7%と、1頭も連対していない。

前走がマイルだった馬がデータ的には優勢だが、当然ながら距離実績がある馬は人気も上がる。各馬の戦歴を見るときには、前走の距離に加えて場所にも注目したい。東京や中山を走っていた馬は前走がマイル戦でも評価を下げるべきだ。

関西圏が初めての関東馬は危険

東西の所属別成績を見ると、関西馬が【7-9-5-94】勝率6.1%、連対率13.9%、複勝率18.3%と多くが馬券圏内に好走。一方、関東馬は【3-1-5-54】勝率4.8%、連対率6.3%、複勝率14.3%とやや成績が落ち込んでいる。

さらに、関東所属馬を関西圏(京都、阪神)での出走経験の有無別に分類すると、成績に大きな差異が生じる。関西圏の出走経験があった馬は【2-1-4-27】勝率5.9%、連対率8.8%、複勝率20.6%と好走できている。これに対して、関西圏の出走経験がなかった馬は【1-0-1-27】勝率3.4%、複勝率6.9%と多くが4着以下に敗れている。

関東主場とのコース形態の違いや長距離輸送など、関東馬が当レースにおいて乗り越えるべき壁は大きい。これが初めての関西圏での競馬となれば、繊細かつ経験の浅い3歳牝馬が力を発揮しきれないのも無理はない。京都や阪神での出走経験がない関東馬は、パフォーマンスに過度な期待は抱けない。

データで導く「過信禁物の注目馬」

ここまでに紹介したデータをまとめると、当レースにおける不安要素は以下の通りである。

・前走が「東京 or 中山」の1600m戦
・関西圏での出走経験がない関東馬

これらを踏まえて、今回はチェルヴィニアを「過信禁物の注目馬」として挙げる。

アルテミスSを快勝したが、その後は脚部不安の影響で阪神JFを回避。今回は休養明けでいきなりのクラシック参戦となる。

前走のアルテミスSの快勝ぶりが評価されているが、このときに下したサフィラ、スティールブルーはその後の重賞戦線で馬券に絡めていない。改めて振り返るとレースレベルに疑問が残る。また、このレースを含めた過去3走は全て10~11頭かつスローペースの競馬だった。一転してフルゲートとなる今回、GⅠの厳しい流れの中で力を発揮できるかは疑わしい。

2つの不安データにも該当していることから高い評価はできない。栗東滞在で輸送の負担は軽減されるはずだが、慣れない環境での調整は繊細な3歳牝馬にとってプラスではないだろう。戦前の注目度を踏まえれば馬券的な妙味は見込めず、今回は軽視する。

最後になりますが、今回をもって「過信禁物の注目馬」の連載を終了させていただきます。これまでのご愛読、ありがとうございました。これからもSPAIA競馬をよろしくお願いいたします。

《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、よりデータを生かした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。



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