大船渡で国内最古植物化石を発見 「草原」示す初の資料

中里層から発見された胞子群集((c)Palaeontological Society of Japan)

 静岡、北海道、熊本の3大学とエジプトのアルアズハル大学の研究グループは、大船渡市日頃市町で日本最古の植物化石を発見した。約4億1千万~3億9千万年前(古生代前期デボン紀)の地層から見つかった胞子の化石として初めて報告され、当時の日本に原始的な植物の「草原」が広がっていたことが初めて分かった。アジアで同時代の研究データは少なく、植物の歴史を知る上で重要な成果となる。

 前期デボン紀は現在の植物の祖先が出そろった時代。しかし、これまで確認されていた国内最古の植物化石は岩手県や福島、岐阜、熊本の各県で報告された後期デボン紀(約3億8千万~3億6千万年前)のリンボク類の化石で、前期デボン紀のデータはなかった。

 研究グループは、植物由来の有機物が含まれる可能性がある前期デボン紀の地層「中里層」に着目。予備的な調査を経て、2021年に試料採集を行った。

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