ハンセン病の強制隔離は「やむを得なかった」…今でも13.6%が誤った言説に肯定的 鹿児島県内

星塚敬愛園を訪れ、隔離の歴史について学ぶ小学生=2024年1月、鹿屋市

 ハンセン病問題に関する厚生労働省の全国意識調査で「元患者(回復者)にとって偏見差別を受けづらい療養所内で暮らす方が、療養所の外よりもいい」との考え方に「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた割合は鹿児島県内の回答者250人の16%を占め、全体の13.6%を上回った。

 県内には星塚敬愛園(鹿屋市)、奄美和光園(奄美市)と二つの国立療養所がある。療養所への強制隔離政策は「有効薬や治療法の確立後もやむを得ない措置だった」とする誤った言説に県内の13.6%が肯定的な回答をした。全体は11.2%だった。

 元患者や家族との関わりで「とても抵抗を感じる」「やや抵抗を感じる」としたのは「食事をする」9.2%、「ホテルなどで同じ浴場を利用」18%、「元患者の家族と自分の家族が結婚する」21.6%で、いずれも全体より低かった。

 元患者と家族に対する差別や偏見が「現在、世の中にある」と回答したのは全体と同じ39.6%。ハンセン病の認知度で「全く知らない」は7.6%で全体の9.8%を下回った。

 ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会の竪山勲事務局長(75)=鹿屋市=は国の隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決後、市内での家探しに3年かかったことに触れ「理屈はわかっていても自分ごとになったときどうなのか。今後も実態調査を続け政策に生かす必要がある」と話した。

星塚敬愛園を訪れ、園内で話に耳を傾ける小学生児童=2024年1月、鹿屋市

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