裏金議員は皆「同罪」なのに…処分めぐる自民の“党内抗争”激化に国民冷ややか

国民そっちのけ(C)日刊ゲンダイ

《何だかどんどん本質が外れていっていないか?》《国民のことをまるで見ていないな》

ネット上でこんな声が広がり始めた。派閥の政治資金パーティーの裏金事件の処分を巡り、“党内抗争”が激化している自民党に対してだ。

「生意気なことをすれば、首を取り換えてやる」。同党紀委員会が4日にも公表するとした処分を控え、時事通信は、二階派事務総長だった武田良太元総務相(55)を「党員資格停止」とする執行部案に対して派閥幹部が反発の声を上げている様子を報じた。

武田氏の処分案について異論が出ているのは、安倍派元幹部らと処分の「重さ」が同じことが理由らしい。さらに二階俊博元幹事長(85)が次期衆院選の不出馬を表明していることから、「大将が詰め腹を切ったのに、配下も責めを負うのはおかしい」との意見があるという。

「執行部への激しい敵意をむき出し」「安倍派と二階派では問題への対応が違う」「武田氏は周囲に私怨だと不快感を示した」……。記事は日増しに党内で強まる怨嗟の声を詳述しているが、この通りであれば、SNSで呆れる声が出ている通り、「トンチンカンな対応」と言わざるを得ない。

改めて裏金事件を振り返ると、自民党が2月に公表したアンケート調査の結果では、派閥からキックバックされたカネを政治資金収支報告書に不記載などとしていたのは85人。2018~22年の5年間で総額5.8億円が“裏金化”されていたといい、うち、政治資金規正法違反で立件された現職国会議員もいる。

脱税疑惑を指摘する声も出ている中、本来であれば党を挙げて裏金事件に向き合い、反省し、事実解明に取り組むべきなのは言うまでもない。それが主権者であり、有権者である国民に対して果たすべき最低限の責任だからだ。

国民から見れば、裏金議員は金額の多寡ではなく皆、“同罪”。当然、二階派だろうが、安倍派だろうが、処分を巡って「重さ」も「違い」も関係ない。それなのに未だに誰も何も説明せず、納税もせず、この期に及んでも「生意気な」「大将が詰め腹を切ったのに」などと不平や不満を言い合っているのであれば救い難い。

《違法、脱法行為に手を染めていた議員は全員、辞職が当たり前。それが世間でいう処分》

《あいつと俺がなんで同罪なのって?子どもか。コップの中の争いはいらない》

裏金議員は党内ばかりに目を向けるのではなく、少しは有権者の声を聞くべきではないか。

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