WRディッグスのトレードについて「決してビルズは諦めたわけではない」とビーンGM

バッファロー・ビルズのブランドン・ビーンとステフォン・ディッグス【NFL】

バッファロー・ビルズが現地3日(水)にワイドレシーバー(WR)ステフォン・ディッグスをヒューストン・テキサンズにトレードしたことは、NFL全体に衝撃を与えた。その結果、ビルズのジェネラルマネジャー(GM)ブランドン・ビーンは公の場でその件について説明することを余儀なくされている。

ビルズはこの取引で白旗を振ったわけではない――それが、ビーンGMの主なメッセージだ。

ビーンGMは水曜午後に報道陣に対して「このような動きは決して簡単なものではない。非常に難しいし、一夜にしてできるようなことでもない。このような動きに出るときはいつでも、すでにお話しした通り、とても難しいが、勝とうとするからそうするのだ」と説明。

「人々がそれに気づかないこともある。これは決してビルズが諦めたとか、一歩下がろうとしているとか、そういうことではない。すべての動きは勝つために行っているもので、これからもそうしていくつもりだ。今日は4月3日であり、私たちはこのロースターに取り組み続け、9月にプレーする準備を整えていく」

この4シーズンでNFL屈指の生産性を誇ってきたレシーバーを手放すという決断は、ビーンGMが言うように簡単なものではなかっただろう。しかし、これまでに何度も打診を拒否してきたビルズがクオーターバック(QB)ジョシュ・アレンのトップターゲットをテキサンズに送ることを決めたのは、タイミングと条件が合ったからだ。

「選手を移籍させる場合、タイミングは何度もある」と述べたビーンGMはこう続けている。

「彼の移籍に関する問い合わせを受けたのは初めてではない。今年以前にもあったことだ。だが、電話を受けたときに話し合うのであって、これまでにも、移籍の話が持ち上がったのに移籍しなかった選手はたくさんいる。話し合ったものの、適切なタイミングあるいは適切な価値ではないと感じた場合はそうなる」

「今回の動きについては、ヒューストンとこの件について数日かけて話し合い、価値が納得できるものであり、彼らにとってもうちにとっても納得できるタイミングであるように見えた。そしてこの取引に着手し、今日、合意に達した」

ビルズがディッグスをトレードする決断を下したことに説明を求める人は、過去を大きく掘り下げることなくその要因を見つけられるはずだ。4シーズンで5,372レシーブヤード、タッチダウン37回を記録したディッグスの起用率は、ケン・ドーシーが解雇されてジョー・ブレイディが攻撃コーディネーター(OC)に就任してから下がり、プレータイムは90%台だったところから60%から70%台にまで落ち込んだ。

ビーンGMが2025年ドラフト2巡目指名権と引き換えに、30歳のディッグスおよびドラフト3日目の指名権2つを送ったことによって示されているように、ディッグスがパスゲームの中心ではなくなった時点で、その荷物――ポテンシャルを最大限に発揮できないチームに対して頻繁に表明していた不満や、昨オフシーズンにチームとの間で生じていたいざこざなど――はビルズにとってもはや価値のないものになったのだ。

とはいえ、今回のトレードは“今すぐ勝つ”というビルズの考えに反していると言えよう。ビルズのWR陣には現在、トップ2のオプションとしてカーティス・サミュエルとカリル・シャキールが残っているものの、アレンがターゲットにすべきトップクラスの武器は欠けている状態だ。

水曜日、トレードが正式に決まってからは話していないものの、フランチャイズクオーターバックであるアレンと頻繁に連絡を取り合っていると明かしたビーンGMは、取引が成立する前にそのような動きが起こる可能性があることをアレンに伝えていたと認めている。

アレンが賛同していたかどうかは分からないが、ビルズはクオーターバックを動揺させることをあまり心配すべきではない。結局、アレンは昨春にディッグスがチームと対立した際に、ディッグスについて話すことを余儀なくされた。アレンはその状況にプロフェッショナルとして対処し、ディッグスへの感謝の意を表したものの、究極的には、そのような問題は起こらない方がいい。

ディッグスがヒューストンに向かうことになり、ビルズがそうした心配をする必要はなくなった。しかしながら、ビーンGMはディッグスの後任をどうするか考えなければならず、それは簡単なことではないだろう。

ビーンGMは「つまり、今日の方が良い状態か? たぶんそれは違う」と認めている。

「現在も取り組んでいる最中だし、これからもそうしていくつもりだ。私がものすごく負けず嫌いで、負けを認めることはないということは知っておいてほしい。私たちはこの問題に取り組み、模索し続けるつもりだ。ロースターのメンバーには自信があるし、上の階で私を助けてくれるスタッフにも自信がある。私たちは追加すべきピースを探し続けるし、9月にその時が来たら、準備は整っているはずだ」

今月末に行われるドラフトでは、有望なWRの候補生たちが全32チームから指名され、ビルズがいずれかの時点でレシーバーを指名すると考えるのは当然だろう。また、ビーンGMが獲得可能なベテランレシーバーに目をつけるとも考えられる。そうなれば、このポジションにおけるロースター構築は最終的に断片的なプロセスになる可能性が高い。一方、ビルズがタイトエンド(TE)ポジションにドーソン・ノックスと2023年ドラフト1巡目で指名したダルトン・キンケイドという2人の有能な選手を擁していることも注目に値する。つまり、ビルズの棚は空になっているわけではない――ただ、WR陣に主力選手がいないだけだ。

結局のところ、ビーンGMは今回のような大きな動きに出た後に自分に注目が集まることを知っている。チームで最高のパスキャッチャーを手放したビーンGMは、ディッグス抜きでもうまくいく方法を見つけなければならない。

ディッグスのトレード後にファンに何を伝えるかと質問されたビーンGMは「今は9月じゃないと言うつもりだ。どのチームも新しいチームになり、どの年も新しい年となる。ドラフトすらまだ行われていない」と答え、次のように続けた。

「だから、2024年のビルズがどうなるかを評価するのはフェアではないと思う。今は4月3日で、プレーするのは9月だ。だから、辛抱強くなろう。そして、私たちにこれを対処させてほしい」

「簡単だったか? そんなことはない。でも、今後のビルズにとって最善の決断を下すなら、それしかないし、そうだと信じてほしい。つまり、この組織とファンベースは、私たちが9月に素晴らしいチームを送り出すと信じる必要がある。それが私たちのプランであり、それは今後も変わらない」

【RA】

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