どうなる? 物流の「2024年問題」

今週のけいナビの特集は物流の「2024年問題」。トラックドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることで輸送能力が低下し、収入の落ち込みからドライバー不足が加速してしまう-などと懸念されている問題だ。

野村総研は、何も手を打たないと2030年の時点で全国で35%、道内では約40%の荷物が運べなくなってしまうと試算している。こうした状況を受け、各企業がどのような対策を取っているのか取材した。

番組MCの杉村太蔵さんと磯田彩実アナウンサーが訪れたのは、札幌・清田区の幸楽輸送。売上高は約46億円、約50人のドライバーと50台ほどのトラックを保有する業界中堅クラスの企業だ。

同社は北海道コカ・コーラボトリングのグループ企業で、コカ・コーラ社製の飲料品を全道へ配送しているのだが、倉庫を訪れると荷台に載っていたのは車の部品。別の会社の商品を飲料品と一緒に運ぶ「共同配送」の取り組みで、作業の効率化とドライバーの負担軽減に取り組んでいる。

同社の不動直樹社長は、従業員数が10人に満たない小規模な事業者が業界内には数多くあると説明。2024年問題を機に、「再編の動きが加速する可能性がある」とし、ドライバーの負担軽減の動きが今後さらに広がっていくと指摘する。

大手のロジネットジャパンは、配達に伴う中間作業をなくし、商品を工場から直接小売店に運ぶことができるサービスを提案する。

「DDロジ」と名付けたこのサービスは、管理の手間がいらない紙のパレットを使用することで、商品を工場から物流センターに運んでトラックから降ろし、センターで別のトラックに積み込んで小売店に運ぶという一連の作業を見直した。

セイノーホールディングスは、宅配便を最長45日間保管できるサービスを提案する。宅配便の取扱数は年間約50億個に上るが、このうちの1割の5億個ほどが2回、3回と再配達されている現状がある。

同社は、この再配達をなくすために宅配便を保管する「マトメル」という施設を運用。利用者が施設内に預けられた荷物を直接取りに来る仕組みで、旭川と東京での実証実験を経て、全国展開を図っていくとする。

行政も動いている。北海道経済産業局は、道内のトラックの積載率が全国平均の40%を下回っている点を問題視。産業振興課の佐々木悠太係長は「各事業者が共同配送に取り組んで積載率を50%にまで高めることができれば、2024年問題はほぼ解消するという試算もある」と説明する。

杉村さんは、問題を解決していくためには各事業者の努力だけでは限界があると提言。「『送料無料で翌日配送』ということ自体にそもそも無理がある。消費者自身も意識を変える必要があると」とした。

(2024年4月6日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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