【おんなの目】良い気分

 所属する詩誌に詩を書いて提出しなければなりません。締め切り日はもうすぐ。詩って何? なんて疑問がこんな時に湧いてきました。ほら、試験が近いのに部屋の片づけを始めたりする、そんな気持ち。どうしよう、と図書館をうろうろしていたら三木卓氏の「詩の玉手箱」が目につきました。どんな玉手箱? 何か書くヒントがあるかしら、という不純な気持ちで頁をめくりました。すぐに泣きました。

 かなしみ      石垣りん
私は六十五歳です。/このあいだ転んで/右の手首を骨折しました。/なおっても元のようにはならないと/病院で言われ/腕をさすって泣きました。/「お父さん/お母さん/ごめんなさい」/二人とも/とっくに死んでいませんが/二人にもらった体です。/今も私はこどもです。/おばあさんではありません。

 喜び      高見 順
うんこが出た/はじめ固く/あとやわらかく快く//おマルにまたがり/僕は幸福だ/僕は起きて うんこができるのだ/ただただ うんこをすることに専念する/小説の筋を考えながら うんこをしない/新聞を読みながら うんこをしない

 大笑い。泣いたり笑ったり。私の心が元気に律動し始めました。なんだか書けそうな(?)気分ですが・・・。

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