「爆音に気が狂いそう」「病気で寝込んでいるところを起こされた」 高止まりする嘉手納基地周辺の米軍機騒音 1月は1万8503回

[リポート’24 嘉手納発] 

米軍嘉手納基地周辺で米軍機などによる航空機騒音の回数が、ことし1月に1万8503回(県速報値)に上った。2023年1月の2万1567回から3064回減ったが、直近3年間は高止まり傾向にある。22年11月に同基地に暫定配備されたF22ステルス戦闘機が騒音回数を大きく引き上げている。地元自治体などは外来機の飛来禁止を訴えるが、状況は改善されていない。(中部報道部・砂川孫優)

 22~24年の各1月に観測された嘉手納基地周辺の騒音回数は、22年がその年の月別で4番目に多い1万6567回、23年が月別最多の2万1567回、24年が1万8503回となっている。

 最大騒音値はいずれも北谷町砂辺で、22年が111.8デシベル、23年が117.9デシベル、24年が115.5デシベル。3年連続で「聴覚機能に障がいを与える」とされる100デシベルを超えた。

■町民の被害深刻

 F22ステルス戦闘機は、F35Aステルス戦闘機の代替機として暫定配備が決まり、22年1月に初飛来した。同機は戦闘機の中でも騒音が最大クラスとされるF35同様、騒音が大きい。暫定配備以降、他機種との訓練などで騒音回数が増えた。

 23年4月にいったん帰還したが、ことし3月に約1年ぶりに再配備された。地元住民は「昨年1月のように騒音が激化する可能性がある」と危機感を募らせる。

 騒音被害の深刻化を受け、嘉手納町議会は3月15日、全議員で沖縄防衛局に出向き、騒音軽減などを求める要請を行った。

 「爆音に気が狂いそう」「エンジン調整音がうるさくて精神的に参っている」「病気療養で寝込んでいるところを(騒音で)起こされた」といった町に寄せられた町民からの被害の訴えを伝えた。

 対応した伊藤晋哉局長は「体感できる改善が図られず、騒音が増えているのはおっしゃる通り」と認めた上で、「外来機を含む航空機の運用は最小限にとどめるよう申し入れている」と説明した。

■議会が抗議要請

 嘉手納基地では昨年12月以降、4カ月連続でパラシュート降下訓練も実施されている。伊江島補助飛行場での実施が原則だが、滑走路の不具合などを理由に「例外」として行っている。

 訓練の全面禁止を求める決議と意見書を全会一致で可決した同町議会の當山均基地対策特別委員長は「意見書は全議員による発議で可決し、全議員で要請した。この重みを受け止めるべきだ」とくぎを刺す。

 仲村渠兼栄議長は「われわれが黙ってしまうと容認したと勘違いされかねない。抗議決議や意見書を何度でも提案して議会の意志を示したい」と粘り強く訴える考えを示した。

米軍嘉手納基地に飛来したF22ステルス戦闘機=3月27日午前11時20分ごろ、同基地(読者提供)
米軍嘉手納基地周辺の騒音発生回数(1月)

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