【J2「苦しみ」】仙台、FW中島の「完璧ヘディングゴール」も逆転負け 森山監督が悔やんだ「選手交代」“奏功せず”(2)

仙台FW・中島元彦は完璧なヘディングゴールを決めたが…  撮影:中地拓也

■3位・仙台は5試合ぶりに先制

半歩後退、か。

J2リーグは4月3日に第8節が開催され、3位のベガルタ仙台は8位の愛媛FCをホームに迎えた。就任1年目の森山佳郎監督が指揮する仙台は、ここまで3勝4分の負けなしだ。一方の愛媛はJ3から3シーズンぶりに復帰し、3勝1分3敗と悪くない滑り出しである。

中3日での連戦となるこの日、森山監督はスタメンに手を加えた。開幕節から不動だったDFラインの顔触れを変え、CB知念哲矢を初めて先発に指名したのだ。ダブルボランチの一角で先発した松井蓮之も、3試合目の出場で初先発である。

前線のキャスティングは、試行錯誤が続く。この日はブラジル人FWエロンを3試合ぶりに先発で起用し、2列目にMF郷家友太、FW中島元彦、MF鎌田大夢が並ぶ。今シーズン初めての組合せだ。松井とダブルボランチを形成するMF松下佳貴を含めて、テンポ良くボールを動かせる選手が揃う。

それぞれの個性を考えると、パスの受け手は郷家とエロンになる。彼らがフィニッシュへ持ち込める場面を、いかに作り出すか。15分にひとつの狙いが表われる。

鎌田が左サイドからペナルティエリア内左へスルーパスを通すと、松井がボランチのポジションからポケットへ侵入する。相手と競り合いながらボールを収め、ゴール前へグラウンダーのクロスを通すと、ニアサイドにエロンが、中央へ郷家が走り込んだ。シュートには至らなかったものの、狙っていた形のひとつだっただろう。

前半の途中から中島が左サイドに、鎌田がトップ下に立つ。これが、先制点に結びついた。中央の鎌田が右サイドへ展開すると、右SB高田椋汰がクロスを入れる。郷家とエロンに続いて左サイドからゴール前へ飛び込んだ中島が、完璧なヘディングシュートを叩き込んだのだ。絶妙のコースに飛んだ背番号7の今シーズン初得点が、ホーム・ユアスタに熱狂を呼び込んだ。

■後半の2失点で仙台は逆転負け

1点リードで後半を迎えた仙台は、59分に松下と鎌田を下げてMF長澤和輝とMFオナイウ情滋を投入する。オナイウは2列目右サイドに入り、郷家がトップ下に入る。長澤はダブルボランチの一角だ。

後半開始から決定的なシーンを作れていないなかで、オナイウのスピードと長澤のゲームコントロールで試合の流れを変える意図があったのだろう。ところが、67分に左サイドを突破され、MF谷本駿介に巧みなワンタッチシュートを決められてしまう。仙台はホーム・ユアスタで今シーズン初失点だ。

前線からの規制が前半ほどはまらない仙台は、ボールの取りどころが定まらずに愛媛に前進を許す。交代で出場してくる相手をつかまえきれないまま時間が過ぎ、79分に逆転ゴールを決められた。

1対2とされた直後、森山監督はエロンからFW中山仁斗へスイッチする。中山を使って前線にポイントを作り、オナイウのスピードを生かしたいのだが、アタッカー陣になかなかボールが入らない。

森山監督は90分に郷家と中島に代えて、DF小出悠太とFW菅原龍之助を投入する。CB菅田真啓を前線へ上げ、パワープレーを仕掛ける。前線の迫力は増したものの、すかさず5バックへ切り替えた相手守備陣を崩し切れず、5分のアディショナルタイムが終了した。仙台は今シーズン初黒星を喫したのだった。

交代カードを使って逆転し、守備の局面で集中力を切らさなかった愛媛の試合運びは、称賛されるべきである。それでも、試合後の森山監督は「自分の選手起用を含めて反省すべきところが多かった」と話し、「僕らがやるべきことができていなかった」と悔しさを口にした。

J1昇格を目ざすのなら、連敗は許されない。次節は藤枝MYFCとのアウェイゲームだ。相手は2勝1分5敗と苦しい序盤戦を過ごしている。3位から7位へ後退した仙台にとっては、勝点3が取り切りたいゲームとなる。

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