松山で伝統の「東雲能」 平家物語の世界に引き込む

和歌への思いを募らせる平忠度の舞を披露する宇高徳成さん(中央)=4日午後、松山市丸之内

 松山市丸之内の東雲神社で伝統の「東雲能」(実行委員会主催)が4日奉納され、春風の中、境内の舞台で観客約150人を厳かな平家物語の世界に引き込んだ。

 演目は「忠度(ただのり)」で、平家随一の歌人・平忠度が源平合戦に敗れ、亡霊となっても和歌への思いを募らせる様子を表現。松山藩お抱え能役者の子孫で金剛流能楽師の宇高徳成さん(38)=京都市=がシテ方(主役)を務め、幽玄の舞を披露した。

 妻(75)=松山市出身=とフランスから訪れた男性(78)は「笛と鼓、舞が一体となって、言葉が分からなくても胸を打つ」と感動していた。

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