6度目の挑戦でプロテスト合格の中野恵里花が5位発進 「回り道した分、強くなったと思いたい」

遅れてきたルーキー、中野恵里花(撮影:福田文平)

<YANMAR HANASAKA Ladies Golf Tournament 初日◇4日◇琵琶湖カントリークラブ 栗東・三上コース(滋賀県)◇6482ヤード・パー72>

今季のステップ・アップ・ツアー開幕戦で遅れてきたルーキーが好発進に成功した。昨年11月の最終プロテストに合格した中野恵里花が3バーディ、1ボギーの70で回り、首位と2打差の5位で滑り出した。

TP単年登録してプロとなった龍谷大2年時の2019年にはレギュラーツアー4試合、ステップ・アップ・ツアーは17試合に出場した経験のある24歳は、2番パー3で5メートルを沈めて最初のバーディを奪い、ピン手前2メートルにつけた5番パー5でスコアを伸ばし、ボギーは7番パー4の1つだけ。後半は12番パー4で4メートルを確実にカップに沈め、「ショットの距離感が合わなくて苦しかったけど、元々得意のパットが決まってくれて良かった。パットは構えて、カップを見たらすぐに打つようにしている。早からず、遅からずで、自分では一番いいリズムだと思っている」と満足そうに話した。

プロテストは6度目の挑戦での合格だった。同学年には今季から主戦場を米ツアーに移した稲見萌寧、昨年初Vから2勝を挙げた菅沼菜々らがいる。中野も同い年の仲間たちに先駆けてきらめく瞬間があった。レギュラーツアーのデビュー戦だった19年4月の「スタジオアリス女子オープン」。初日は今回と同じ首位と2打差の5位でスタートし、多くのメディアから取材を受けた。だが、2日目は8オーバーの80をたたき、予選落ち。「初日は怖いものなしでやれたのに、2日目は守りに入ってしまった。自分の持ち味は攻めるゴルフ。今、思い出しても悔しいです」。

プロテストも失敗の連続。「緊張するとミスが出る。スタジオアリスで学んだことをなかなか生かせなかった。今はようやく緊張するとどういうミスが出るかわかってきました。メンタルも鍛えられたと思います」。遠回りはずいぶんしたが、流した涙の分だけ確実に強くなった。「はい、そうだと思いたい」と苦労人はにっこりとほほええんだ。

プロテスト合格後、最初の試合となった2週前のレギュラーツアー「アクサレディス」は2日目の最終18番パー5でボギーを打ち、カットラインに1打届かず予選落ちした。悔しい終戦だったが、「アドレナリンが出まくって、レイアップしたのに池に落としてしまいました」と笑って話せるようにもなった。
今週は車で約40分の京都・宇治市から”自宅通勤”。

「小学生のころはハーフを何十回と回らせてもらいました。コースは隅から隅まで覚えています」。地の利も味方する5年ぶりのステップ・アップ・ツアー。「今季の目標はステップで賞金女王になることです」。あとは有言実行。菊地、原に次ぐ3人目のエリカが開幕戦から存在感を見せつける。(文・臼杵孝志)

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