“世界遺産の島”・宮島が、新たな宿泊施設の誘致計画に揺れています。広島・廿日市市が計画を進める中、反対する住民などの集会が4日、開かれました。
末川徹 記者
「こちらの桜は、もうすぐ満開。ワクワクしてきます。大鳥居をバックにながめるのも風情があっていいです」
世界遺産の島・宮島は4日、観光客の活気で満ちあふれていました。そんななか、一部の地元住民や事業者から、ある不満の声があがっています。
包ヶ浦を守る会 正木文雄 さん
「まずは(計画を)止めることが重要」
島の交流館で集会を開いたのは、「包ヶ浦を守る会」です。廿日市市が計画する宿泊施設の誘致に反対する立場として、3月に発足し、署名を募っています。
包ヶ浦は、宮島桟橋から東に車で10分ほど移動した位置にあります。
末川徹 記者
「海の向こう側は広島市の市街地を見渡せて、ロケーションがとてもいいです。この場所は、非常に平らな土地が広がっていることが分かります」
かつて、廿日市の子どもたちの遠足といえば、包ヶ浦でした。夏には、海水浴場やキャンプ場として親しまれ、宿泊の売り上げが1億円を超えた年もありました。ところが、現在は人影がなく、静まりかえっていました。
末川徹 記者
「こちらは、レストランなどが入っていた包ヶ浦のセンターですが、扉が閉まっています。『3月31日を持って閉鎖された』との張り紙がされています」
キャンプ場などの有料施設がなくなっていました。廿日市市のホテル誘致について観光客の意見もさまざまです。
東広島市から
「いいとは思うが、あまり用事はない。特別なときしか泊まれない」
アメリカから
「いい考え。日本に来る裕福な旅行者のなかに期待している人も多いと思う」
福岡から
「景観が悪くなりそう。外国人の受けはいいのでは」
こうしたなか「守る会」は、自然環境の悪化や、島の事業者に人手不足の影響が出るなどと訴えました。
参加者たち
「(市に対して)対案はないのか。反対ばかりで、説得力が低い」
「千何百年も続いてきた自然を守ってほしい。(包ヶ浦は)みんなの財産」
「守る会」は、ホテル誘致ありきではなく、包ヶ浦のあるべき姿を共に模索すべきだと強く主張しました。
包ヶ浦を守る会 正木文雄 さん
「自然豊かな宮島は、世界遺産のバッファーゾーン。(計画を)いったん白紙に戻して、包ヶ浦をどんな方向に持っていくのか話し合いたい」
一方、廿日市市は、RCCの取材に対し、「事業者の公募時期が決まっているわけでなく、具体的な計画はまだ進んでいない。これから地元の意見を踏まえて、市の考えを丁寧に説明していきたい」とコメントしています。