大谷翔平、今季第1号 “ひまわりシャワー” でお出迎え…“過去最遅” だった理由をイチローの師匠が指摘

写真:AP/アフロ

「なかなか調子が上がってこなかったので。焦る気持ちを我慢しながら。自分のスイングをしようってことに努めてきたので。1本出てよかったと思います」

2024年4月4日のジャイアンツ戦で、大谷翔平に今季第1号が飛び出した。冒頭のコメントでもわかるように、ヒットこそ出るものの、多くのファンが期待した本塁打までには時間がかかった。

これまでのメジャー6年間、第1号がもっとも遅かったのは2022年の8試合め、31打席めだった。それを1試合上回る9試合41打席めだったので、安堵したい気持ちもよくわかる。

ただの1本ではない。エンゼルス時代の2016年初本塁打時は、ベンチに帰ってきてもわざと無視する “サイレント・トリートメント” で迎えられた。

だが、今季の一発めは、「オオタニの移籍が決め手となって僕もこのチームに来た」と、チームメイトになることを熱望していたテオスカー・ヘルナンデス外野手がベンチを飛び出し、“ひまわり(種)シャワー” で出迎え。まさに名門チームの一員になったことをうかがわせる光景だった。

難産ゆえの第1号。なにがここまで長引かせたのか。イチローの師匠で、NHK-BSのメジャーリーグ解説でもお馴染みの新井宏昌氏が語る。

「韓国シリーズの開幕戦からすべて見ていますが、バットはよく振れていると感じていました。ただ、新天地に来てチームメイトやナ・リーグの投手に慣れることに少し時間がかかったのかな、とも思います。

私も経験しましたが、些細なことかもしれませんが難しいこと。しかも大型契約を結んでいますからね。知らず知らずのうちに力んでいたのでしょうか」

打球の方向に、それが見えたと続ける。

「彼の場合、左投手に対し、ヒットになってもアウトになっても、打球はセンターから左に大きな打球が飛んでいた。やや内角よりの球ででもですね。

それが今季、同様のケースでは右が多かった。ということは、バットのヘッドの動きが速いということ。それで引っ掛けていた。そこに結果が出ないことが重なり、少しずつ力みにつながっていったと思います」

コンディション調整も大敵だったという。

「彼は米国でも時差を経験し、研究して克服してきた。でも、韓国で開幕を迎え、そこで時差を経験し、また戻ってきても時差がある。体調的にも、力みやタイミングのズレにつながっていたと思います」

そうしたなかで出た一発。

「ようやく出ましたが、本来の彼なら、あのやや外角よりの球ならバックスクリーン方向への本塁打だったと思います。まだ動きだしが早いと思う。完璧なタイミングではありませんでしたが、それでも打てたのは、うまくバットの芯に乗せられたからでしょう。これまでなら打ち損じていましたから」

これでノッていけると見ていいのか。

「ホームランバッターは1本出ると、その後、ポンポンと飛び出すとよく言われています。1本出たことで、気分が楽になると思います。

また、次戦からは好材料が待っています。

ジャイアンツ戦後はビジターに出ますよね。ここまでは新しいチームの地元での試合、それも例を見ない大型契約を結んでのことでしたから、周囲は相当期待していました。プレッシャーだってあった。結果が出なければ、味方ファンからもブーイングされる可能性がありますから。

敵地に行けば、ブーイングはあるかもしれませんが、それは慣れているはず。気分的にも少し楽になってプレイできますから、本塁打を量産する条件は揃ってくると思います」

ドジャースは大谷の一発で4連勝。9試合で7勝2敗とナ・リーグ西地区のトップに立っている。

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