今季初の鯨肉、競り活況/八戸市第2魚市場

北海道の根室沖で捕獲され、八戸市第2魚市場で今季初めて販売された鯨肉=4日

 八戸市第2魚市場で4日、今季初めて鯨肉が販売された。北海道の根室沖で行われている商業捕鯨で、外房捕鯨(千葉県南房総市)と太地町漁協(和歌山県)が共同操業する船団が捕獲したミンククジラの生肉341.6キロが上場。今季の初物として注目を集め、胸肉の高値は昨季を上回った。捕鯨船団は根室沖での操業を終えた後、八戸港に拠点を移し、今月下旬から八戸沖や津軽海峡でクジラ漁に着手する見通しだ。

 競りを担った卸売業・八戸魚市場によると、4日に販売されたミンククジラは雌。1日に根室北方沖で捕獲され、北海道釧路市内で解体後に八戸へ運ばれた。

 胸肉や赤肉、あばらといった部位ごとに計93ケースが並び、相場が最も高かった頰肉は1キロ当たり9千~4千円だった。胸肉は3100~1500円で、昨季(2250~1800円)と比べて高値が上がった。

 ある仲買人は「脂乗りはいまひとつだが、赤身の色はきれいだ」と評価。地元鮮魚店の経営者は「身が硬くても鮮度はいい」と話した。一部は八戸市内にも流通し、鮮魚店やスーパーなどに並ぶ見込みという。

 一方、捕鯨船団をまとめる外房捕鯨鮎川事業所によると、八戸港と大畑港(むつ市)を拠点としたクジラ漁は、現時点で今月下旬から6月末まで行われる見通し。昨季は両港にミンククジラ計32頭を水揚げした。

 八戸魚市場の越後正幸常務取締役は「春の八戸ではミンククジラの食文化が根付き、風物詩的に続いている。今後、八戸産が水揚げされれば、さらに活気が出てくるだろう」と語った。【全文】

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