味の継承です。長野県須坂市で料亭を営んでいた男性が考案した「牛ずし弁当」。長野市のビュッフェレストランが受け継ぎ、3日から提供を始めました。
長野市穂保のビュッフェレストラン「みーるマ~マ」。
男の子:
「おいしい」
春休みということもあり3日は多くの家族連れでにぎわっていました。
この日、特別メニューとして提供が始まったのがー。
須坂市から:
「田幸さんの牛ずしが懐かしいのと(ニュースで)一生懸命こちらでお料理しているのを見て、すぐにオーダーしました」
酢飯に牛肉のしぐれ煮をのせた「牛ずし重箱」。(ビュッフェ利用800円 テイクアウト1200円)
「みーるマ~マ」がある男性から受け継いだものです。
みーるマ~マ・松本雅弘店長:
「問い合わせも多くいただいているので、楽しみに待っている方が多くいるなと感じられた」
牛ずしを考案したのは、かつて須坂市で料亭を営んでいた田幸袈佐昭さん(86)。55年ほど前に考案して販売したところ、甘辛い牛肉と酢飯の絶秒な味わいで人気になり県内外のデパートで販売されるようになりました。
しかし2002年、高齢のため田幸さん店を閉じ、牛ずしの販売もやめました。
田幸さんが願ったのは「味の継承」。無料で作り方を教えると新聞広告も出しました。これが切っ掛けで長野市篠ノ井のおやき店「おかあさんの味処たんぽぽ」が受け継ぎ、今も予約販売しています。
牛ずし弁当を考案・田幸袈佐昭さん(2023年取材):
「(牛ずしは)私にとって小さな発明じゃないかなと思った。私も高齢なものですから、この牛ずしを残したいんですよね」
そうした中、田幸さんの取り組みを紹介した「みんなの信州」の特集をきっかけに「みーるマ~マ」もメニュー化に乗り出し、3月、田幸さんから味を伝授されました。
牛ずし弁当を考案・田幸袈佐昭さん:
「なるべくとろ火で長く煮れば煮るほど色ついてきますし味に深みが出てくる。いい加減な料理なんですけどこれで長年やってきたもので」
牛ずしにレシピはありません。「みーるマ~マ」の加藤料理長は目と舌を頼りに試作を重ねました。
3月18日、田幸さんの最終チェック―。
田幸袈佐昭さん:
「味かなりいいですね」
みごと合格!
田幸袈佐昭さん:
「板長さん、またよろしくやっていただいて」
みーるマ~マ・加藤正料理長:
「お店で売らせていただきますので」
田幸袈佐昭さん:
「人生もあとわずかですけど、残ってくれればそんなうれしいことはない」
4月3日―。
加藤料理長はその後も改良を加え提供開始の3日を迎えました。
みーるマ~マ・加藤正料理長:
「少し緊張していますが味の方は間違いないと思います。しいたけの入ったすし飯と上にのった甘辛い牛肉のバランスの良さを味わっていただけたらと思います」
改良を重ねた味は…
(記者リポート)
「牛肉がほろほろで非常に甘辛く、ショウガのピリッとした感じと酢飯も合っていておしいです」
早速、田幸さんの牛ずしを食べたことのある女性が3食、テイクアウト。
牛ずし重箱をテイクアウトした女性:
「本当うれしくて来ました。すごいなと思いました。これでまた復活できれば」
田幸さんの思いと味を受け継いだみーるマーマ。大切なメニューの一つとして守っていきます。
みーるマ~マ・加藤正料理長:
「何十年も心を込めて作ってこられた田幸さんの思いをしっかり引き継いで大事に作っていきたい」