第154回九州地区高校野球大会鹿児島県予選第13日は4日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。鹿児島実は第1シードのれいめいを5-1で破った。鹿屋農は出水中央を4-1で下し、県大会で初めての決勝進出を決めた。最終日は5日、同市の鴨池市民球場であり、優勝校が九州大会(20~25日・佐賀県)に出場する。
◇合言葉は「農魂」、泥くさい堅守が原動力
9回表、出水中央に3点差に迫られなお2死一、二塁。鹿屋農のエース吉元は捕手前田のサインにうなずく。129球目は切れ味鋭いスライダー。バットが空を切った瞬間、創立129年で初の県大会決勝進出が決まり歓喜の輪が広がった。
「堅い守備で守り、しぶとい打撃で得点する」。今熊浩輔監督が就任した9年前から掲げてきた理想の展開を選手たちが体現した。今大会1試合当たりの失策は0.6。この日も無失策で、二つの併殺を奪った。攻撃も“らしさ”を存分に発揮。5回、吉元と田中が計15球粘って四球をもぎ取り捕逸で進塁すると、6番杉浦がしぶとく左前に運び3点目を挙げた。
「みんながチームのためにつないだ結果。入部したときから泥くさくと言われてきた」と田中主将。学校グラウンドに掲げられるのは「農魂」の看板。その文字を目に焼き付け、泥だらけになり1時間半にわたるノックなどに励んできた。同校出身の今熊監督は「あれだけの練習を積んできたから今がある。子どもたちが歴史をつくってくれた」と後輩の活躍に目を細めた。
田中主将や2安打と活躍した出水は言った。「決勝でも泥くさい『農魂』を見せる」