内川たけのこ弁当、協力隊受け継ぐ シーズンに向け試作 浜口さんと「先輩」髙野さん

タケノコ料理を味見する(右から)髙野さん、浜口さん、小坂さん=金沢市内川公民館

  ●閉じた専門店の味習い

 タケノコの産地、金沢市内川地区から消えたタケノコ料理専門店の味を、新旧の市地域おこし協力隊2人が弁当で受け継ぐ。1日に就任した浜口ゆきのさん(26)=三小牛(みつこうじ)町=と1年前まで務めていた髙野智司さん(30)=新保町=が4日、同地区で最後の専門店を営んだ小坂栄司さん(76)に味付けや調理法を教わり、「内川たけのこ弁当」を試作した。今月の出荷シーズンに合わせて限定販売する。

 内川地区では最盛期に専門店が十数軒あったが、経営者の高齢化などを理由に、21年春までに全て閉店した。内川に移住して4年がたった髙野さんは、専門店のタケノコ料理を味わったことがない。2020年4月に協力隊に就任して以降、コロナ禍で店に足を運ぶ機会がないまま、最後の2店が閉店した。

 髙野さんは小坂さんからタケノコご飯のレシピを教わり、21~23年に販売して住民から好評を集めた。協力隊として、できるだけ多くの料理を継承したいと考えていたが、1品で任期を終えた。「宿題が残った。まだ本物の内川のタケノコ料理を食べてもいない」と心残りだった。

 そんな中、東京から移住した浜口さんが着任した。髙野さんが一緒に料理を継承しようと声を掛け、浜口さんは先輩の後押しを得て地域にすぐ溶け込んでいった。多くの住民に味わってもらいたいと、2人は炊き込みご飯、天ぷら、煮物とタケノコづくしの弁当を作ることにした。

 4日は内川公民館で、小坂さんからメニューに応じたタケノコの選び方、厚さや大きさにこだわる切り方などを学んだ。化学調味料は一切使わず、煮物はしょうゆと酒でシンプルに味付けした。

 髙野さんは「力を合わせて若い人に内川のタケノコの魅力を伝えたい」と語り、浜口さんも「いずれは焼きたて、揚げたての料理を提供できる場所も作りたい」と意気込みを示した。小坂さんは「高齢化の中山間地に新しい発想で元気を与えてほしい」と期待を込めた。

 弁当は10日から予約を受け付け、17日から「ほがらか村野田店」で販売する。

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