●火打の里森の会
志賀町土田地区の住民が同町火打谷(ひうちだに)の県緑化センター敷地内の日本庭園の再整備に合わせ、追悼と復興の願いを込めた「のとキリシマツツジ」を植えた。地震で旧友を失った男性が自宅の庭で丹精した3本を移植した。ツツジを順次増やし、庭園を深紅の花が咲き誇る名所として育てていく。
センターの日本庭園は1983(昭和58)年に造成された。ただ、その後約40年間ほとんど人の手が入らず、イノシシによる被害もあった影響で訪れる人は少なくなっていた。
センターのにぎわい創出を目的に、土田地区の住民が2021年に「火打の里森の会」を結成。県の許可を得て、敷地内の県天然記念物「ヒウチダニキクザクラ」を中心としたサクラの植樹、のとキリシマツツジの栽培に取り組んできた。
昨年度、日本庭園の再整備を進めていた中で、地震が発生。会の副代表を務める辻口武志さん(78)=同町印内=の輪島高時代の友人が犠牲となった。
辻口さんは再整備で、自宅で丹精したのとキリシマツツジ2本を植えようと考えていたが、亡き友ら犠牲者への弔いの意味も込めて1本増やした。
友人が生まれ育った輪島市内の土を大型トラック5台分運び込み、ツツジを植える場所に使用。会では3年前からビニールハウスで千本のキリシマツツジの苗木を育てており、庭園周辺にも移すことを計画している。
キリシマツツジは4月下旬に見頃を迎える見込みで、辻口さんは「庭園をのとキリシマツツジの名所にして被災者の心を癒やしたい」と話した。