【ソフトバンク】石橋貴明が真顔で語る帝京の後輩・中村晃という男「彼は本当に…」

中村晃(左)を激励する石橋貴明

お茶の間には見せない顔だった。タレントの石橋貴明(62)が、4日にソフトバンクの本拠地ペイペイドームで行われたロッテ戦で始球式を務めた。芸能界屈指の野球好きとして知られる男は、マウンドを汚さない配慮を見せるなど随所に野球への敬意を示した。

大役を終えた後の報道対応では想定外のワンバウンド投球を振り返りつつ、終始笑いを取った。ただ、帝京高校の後輩・中村晃へのエールを求められると表情は一変。一瞬にして真顔に変わった。「山川君が入って、なかなかファーストを守れないじゃないですか」。昨季までパ・リーグの一塁手部門で4年連続ゴールデングラブ賞を受賞し、春のキャンプから好調な打撃をアピールしてきた。ポジションのかぶる山川、DHで優先起用されるウォーカーの加入で開幕からベンチスタートながらも懸命に戦う後輩を思いやった。

さらに石橋は神妙な表情でこう続けた。「だけど、中村の力が必要になる時が絶対ある。だから、シーズン(通して)いいコンディションで、ちゃんと食べて、いつでも出られるようにって話はしました」。試合前に本人と直接言葉を交わしたことを明かした上で、テレビでは見せない真剣な語り口で「彼はね、本当にチームのために何をやるかってことがしっかり分かっている選手なんで。必ず、どっかでチームのために大活躍してくれる。期待してます!」と熱いメッセージを送った。名門・帝京野球部に身を置いた石橋。芸能界で成功し、酸いも甘いもかみ分けた分、中村晃の境遇に思いをはせ、ソフトバンクで見せる献身的な振る舞いに敬意を表した。

ソフトバンクはこの日8―1の快勝を収めた。打線がともに今季最多11安打、8得点で重量打線の貫禄を示した。局面で起用される代打の一番手で待機する中村晃に出番はなかった。シーズンは長い。「打撃の状態が良いとか悪いとか、気にする暇もないです」と臨戦態勢で控える34歳は、チームが苦しい時ほど頼りになる存在。石橋が確信する大活躍の瞬間が訪れる日も、そう遠くはないはずだ。

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