中田カウス「松本人志批判」の背景 40年以上前から危惧していたNSC芸人の暴走

文藝春秋を訴えた第1回口頭弁論が終わったばかりのダウンタウン・松本人志に対し、思いもよらぬ〝口撃〟が浴びせられた。4日発売の写真週刊誌「フライデー」で、吉本興業の〝陰のドン〟とも言うべき大御所漫才師「中田カウス・ボタン」のカウスが松本を〝一喝〟。このウラには、実に40年以上にわたるカウスの思いがあるという――。

女性問題を報じた週刊文春を発行する文藝春秋などを相手取り、5億5000万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が先月28日に開かれたばかりの松本に予期せぬ〝口撃〟だ。4日発売の「フライデー」が、カウスの〝松本批判〟を報じたのだ。

松本は、後輩の〝アテンド芸人〟を使って性行為を目的とした飲み会を開いていたと文春に報じられたが、カウスは「フライデー」の取材に対し「松本はアウトやて。本当に客、素人に手をつけたのであれば」と一刀両断に斬って捨てた。

カウスはさらに「お客を大事にせなあかん、という芸人の意識があったらそういう気分にならへん」ともコメント。そのうえ松本だけではなく、〝ダウンタウン育ての親〟と言われる吉本興業の前社長・大﨑洋氏に対しても「僕の57年の吉本芸人生活の中で一番の大きな失敗は、大﨑を社長にしたことや」とまで語った。

性加害報道があってから、松本が吉本の先輩芸人から批判されるのはカウスが初めてではない。松本の女性問題を昨年末に文春が報じてから、松本を猛批判していたのがベテラン漫才師・西川のりおだ。

のりおは、松本が裁判に注力すべく芸能活動を休止したことについて「ホントに自分に(問題が)なかったら休業することはないと思う」。また芸人仲間が松本を擁護することについては「ちょっと内側からの、寄りのコメントはやめておいた方がいい」などと話していた。

吉本の先輩芸人は、松本にとっては本来なら〝身内〟であるはず。それでも批判を浴びてしまったのは、実に40年以上にわたる長い経緯があるという。

松本は周知のとおり、吉本が1982年に設立した吉本総合芸能学院(NSC)の1期生だ。同期には相方の浜田雅功をはじめトミーズ、ハイヒール、吉本新喜劇の内場勝則などがいた。

当時を知るお笑い関係者は「今は、吉本の芸人のほとんどがNSCの出身だが、NSC設立前は誰かの弟子になる以外、芸人になる方法がなかった。そうした中で設立されたNSCの1期生は、師匠の教育を受けていないため『あいさつができていない!』など、先輩芸人の批判が浴びせられた」と明かす。

そうした先輩芸人の中には、当時から吉本の劇場で活躍していたカウスやのりおもいた。

「先輩たちは、きちんと礼儀も教わっていない芸人が生まれるといつか問題を起こすことになると警告していた。ただ、ダウンタウンがテレビで売れっ子になり、吉本に多大な稼ぎをもたらすようになった。前社長の大﨑さん、現在の岡本昭彦社長など、吉本の上層部はいつしか〝ダウンタウン一派〟が占めるようになっていった」(同)

ところがここに来て様相が一変した。

「1期生で、NSCの象徴ともいえる松本が性加害疑惑で活動休止に追い込まれた。カウスさんなど先輩芸人とっては、〝それ見たことか〟という思いがあるのは事実だろう」(同)

実際にカウスは「フライデー」に対し、「松本に師匠がいたら会社の処分以前に破門になってたと思う」「こういうことを咎める師匠がいなくなってきた」などと発言している。NSC設立後は当たり前になった、師匠に弟子入りしていない芸人への疑問があらためて湧き上がっているようだ。

カウスによる〝松本批判〟は、40年以上にわたる思いがここに来て噴出した結果とも言えそうだ。

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