米、イスラエル支援転換も示唆 民間人保護要求 首脳電話会談

Jeff Mason Steve Holland

[ワシントン 4日 ロイター] - バイデン米大統領は4日、イスラエルのネタニヤフ首相と約30分にわたり電話会談した。即時停戦が人道状況の安定や改善、民間人の保護に不可欠と強調し、支援団体や民間人の安全確保に向け即時行動を取るよう要請した。米国のパレスチナ自治区ガザ政策は、イスラエルの対応によって決定されるとも警告した。

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘開始以降、イスラエルに対し揺るぎない支持を堅持してきたバイデン大統領としては、最も厳しい発言となる。また、イスラエルに対する支援継続に条件を付けることを示唆したのも今回が初めて。ガザで食料支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」のスタッフ7人が、イスラエル軍の空爆によって死亡したことが背景にある。

ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏はイスラエルが「民間人の被害、人道的苦痛、支援従事者の安全に対処するための具体的かつ測定可能な一連の措置を発表し、実行する必要性」を明確にした。また「米国のガザ政策はこれらの措置についてイスラエルが直ちに取る行動の評価によって決定されることを明確にした」という。

ネタニヤフ氏に対しては、ハマスに捕らえられた人質を取り戻すための取引成立に向けて交渉担当者を支援するよう求めたという。

ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は電話会談後、イスラエルおよびガザ政策をどのように変更するかについては詳細に踏み込まず、イスラエルが「今後数時間から数日」以内に対応策を発表することを期待していると述べた。

また、ブリンケン米国務長官は訪問先のブリュッセルで、イスラエルは人道支援の増強と支援従事者の安全確保を通じ「この局面に対応する必要がある」とし、「求められる変化が見られなければ、米国の政策は変更されることになるだろう」と語った。

ネタニヤフ首相の報道官はFOXニュースに対し、米国のガザやイスラエル政策変更の可能性について「米政府が説明すべき問題」という認識を示した。

ホワイトハウスはその後、イスラエルが支援物資の搬入拡大に向けてアシュドッド港とエレズ検問所を開放するとともに、ヨルダンからガザへの直接の物資輸送を強化する決定をしたことを歓迎した。

ただ、ホワイトハウスのワトソン報道官は、これらの措置が今後「迅速かつ完全に実行されなければならない」と強調した。

米・イスラエル首脳電話会談に先立ち、イスラエルは、同国軍の空爆により支援団体職員7人が死亡したことを受け、ガザでの戦略を調整すると発表した。

トランプ前大統領は保守派のラジオ番組で、イスラエルのガザでの戦闘遂行を批判し、イスラエルは「PR戦争で大敗している」と述べ、ガザでの作戦を早く終わらせなければならないと語った。

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