名神湾岸連絡線/阪神高速会社と西日本高速会社が参画、有料道路事業を導入

名神高速道路と阪神高速湾岸線を結ぶ「名神湾岸連絡線」(兵庫県西宮市、延長2・7キロ)への有料道路事業導入が決まり、阪神高速道路会社と西日本高速道路会社が事業者として参画することになった。用地を含めた全体事業費は約1050億円を見込み、このうち有料道路事業に約530億円を投資する。3月末に国土交通大臣から公共事業と有料道路事業による合併施行方式導入の許可を受けた。
計画では名神高速と阪神高速神戸線が接続する(仮称)西宮JCT・IC(西宮市今津水波町)から、湾岸線と接続する(仮称)西宮浜JCT・IC(同西宮浜2)間に2車線の高速道路を整備する。ルートは西宮JCTから今津東線(4車線)や民有地を通り、航路を渡って人工島の西宮浜に至る。設計速度は毎時60キロ(一部40キロ)。
完成すれば、神戸線と国道43号に集中する交通を湾岸線で分散でき、周辺地域の交通渋滞の解消や交通の安全、沿道環境の改善が期待される。神戸側では湾岸線の延伸区間として大阪湾岸道路西伸部の整備が進んでおり、阪神高速神戸線とのダブルネットワークで物流ネットワークの強化にもなる。災害時の緊急輸送や被災地の復旧活動にも寄与する。
阪神高速会社と西日本高速会社が有料道路事業主体になることで効率的な維持管理が可能なことから有料道路事業と公共事業を組み合わせる。両社は日常的なメンテナンスが必要な舗装や設備工事を実施するほか、有料道路事業費等を活用して名神高速、湾岸線に接続するJCT部と西宮港渡航部の橋梁工事の一部を行う。有料道路事業約530億円のうち、阪神高速会社分は約500億円、西日本高速会社分は約30億円。
近畿地方整備局から事業引き継ぎを受ける工事着手予定日は阪神高速会社が2028年4月1日、西日本高速会社が31年4月1日。いずれも工事完成予定は32年3月31日としている。
名神湾岸連絡線は21年度に事業化。同2月に都市計画決定した。近畿整備局は海上部の橋梁予備設計など調査・設計を進めている。
兵庫県の齋藤元彦知事は「大いに歓迎する。全国ワースト1位の阪神高速神戸線の渋滞緩和や大規模災害時などのリダンダンシー(冗長性)の確保、阪神港の物流機能や関西3空港へのアクセス強化を図る上で極めて重要な道路であり、早期開通を期待している」とコメントしている。

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