国交省/直轄業務発注時の評価方法、試行3タイプを全国展開へ

国土交通省は調査や設計の業務発注時に各地方整備局で試行している総合評価方式やプロポーザル方式のさまざまな評価方法のうち、▽技術提案簡素化型▽地域貢献度評価型▽配置加点型-の3タイプを全国的な試行として運用する方向だ。PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルに基づき試行の効果を検証し定期的に見直す取り組みの一環。今後の運用状況の検証次第で、標準的な手法への格上げも視野に入れる。
PDCAに基づく検証は2023年3月に改定した両方式の運用ガイドラインに明記。整備局単位で試行の効果や課題の有無を継続的にフォローアップし、本省を通じて試行の標準化や継続調査、見直し、廃止を検討する。今回、全国的な試行と位置付けるに当たり、既に有効性を確認した現行の試行12タイプのうち、導入している整備局が比較的多く、高い効果が確認されているものを抽出した。
技術提案簡素化型は、受発注者の事務手続き期間の短縮や技術提案書の作成・審査の負担軽減につなげる。22年度のアンケートで受注者側の9割、発注者側の6割が効果を実感していた。発注件数は年々増加傾向にある。業務成績評定点の平均点と分布も試行対象外の業務と同等以上かほぼ同じで、成果品質は確保されていると評価した。
地域貢献度評価型は、災害協定や災害時の活動実績を評価し、地域企業の技術力向上と参入機会の確保を促すのが目的。東北、関東、中国、四国の4整備局が同種のタイプを試行し、いずれも試行対象外の業務と比べると平均参加者数が増加。受注者のうち中小企業が占める割合は、これまでに東北で100%(試行対象外21%)、中国で86%(10%)などと高い。業務成績評定点も試行対象外と比べて見劣りしないと判断した。
配置加点型は、配置技術者の年齢が一定年齢以下の場合に加点評価する仕組み。管理技術者の年齢分布を見ると、総合評価で試行するほとんどの整備局で45歳未満の割合が高くなっている。東北を例に取ると、その割合は22年度に85%で試行対象外の業務の3倍以上だった。プロポーザルで試行する整備局もあるが、目的に沿った効果が確認されておらず引き続き検証を必要とする。

© 日刊建設工業新聞社