【広島】新井監督〝大胆起用〟の背景に昨季ラスト失速の反省 先発は固定せず!

シーズン終盤の戦いを見据える広島・新井監督

ベテラン勢が猛奮起した。広島は4日のヤクルト戦(マツダ)で6―3と逆転勝ち。今季初のカード勝ち越しを決めた。

この日の相手先発は左腕の高橋だった。対する新井監督は25歳の中村奨、そして23歳の久保をプロ初の先発オーダーに加えるなど若手の右打者をスタメンに抜擢。その一方で試合は3点を追う終盤7回に会沢が反撃の口火を切る2点適時打、続く8回には上本が同点打、さらに最年長・松山も代打で決勝打を放って〝鯉のいぶし銀トリオ〟が存在感を示す展開になった。白星をつかんだ新井監督は「ベテランと中堅、若手がかみ合ったナイスゲーム」とご満悦で振り返った。

対戦投手の左右を苦にしない秋山を控えに回し、実績の乏しい中村奨や久保の起用に踏み切ったタクトは一見すると、かなり大胆な采配のように映る。しかしながら、これは目標のVをかなえるため、昨季の反省も踏まえた上での必要不可欠なマネジメントだったようだ。新井監督の「右腕」でもある藤井ヘッドコーチはこう明かす。

「去年は試合に出られるコンディションという意味で、シーズンの最後は満足に戦える選手がおらんかった。今はそれぞれ違うコンディションで戦っているけど、今年はみんなが最後にピークにもっていけるようにしたい。そのイメージでこちらは当面いろいろな選手を使って、本当にシーズン終盤にその体制を作れるようにしたいと考えている」。

昨季は終盤に故障者が続出。その結果として9、10月は優勝を決めた阪神が16勝9敗1分けとラストスパートをかけたのに対し、広島は9勝14敗と失速した。あくまでも現有戦力の底上げで6年ぶりのV奪回を狙う赤ヘルにとって先発を固定しないマネジメントは、シーズン終盤をフルスロットルで戦うための布石と言えそうだ。

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