若手社員の9割が「成長を実感」しないと転職を検討のナゼ…それってそんなに大事なの?

自己実現の「成長の実感」が優先(C)日刊ゲンダイ

春のセンバツで熱戦を繰り広げた高校球児もそうだが、若いスポーツ選手が割とよく使う「成長を実感」という言葉。

たとえ勝負に敗れても「成長を実感できたので次につなげたいです」などと前向きなのは結構だが、周囲の若手社員も口にしているのでは?

若手ハイキャリア向けスカウト転職サービスの「AMBI」(エン・ジャパン運営)が先月26日に発表した「仕事を通じた成長実感」に関する調査(39歳以下のユーザー1223人対象)によると、実に3人に1人が現在「成長実感がない」と回答。成長実感がないことが理由で「転職を考えたことがある」のは9割以上もいた。

多くの若手社員は、仕事の幅を広げられない、自分の市場価値を高められない、そんな成長が実感できない会社とはオサラバしたいわけだ。

「ひと昔前の新入社員なら上司や先輩のアドバイスに素直に従っているうちに仕事ができるようになっていき、中堅ぐらいになってから、いちいち言葉にせずとも成長を実感したものですが、今どきは優秀な若手ほど結果を早く求めがち。給料より成長実感を優先しがちなのは、転職前提なんでしょうけど」(中堅メーカー人事担当者)

それにしても、なぜ、そこまで成長を実感したがるのか。実感しないとダメなのか。明大講師の関修氏(心理学)の見方はこうだ。

■他人と同じであってはいけないと考えがち

「個性重視の教育を受けてきた10代、20代は他人と同じであってはいけないと考えがちです。周囲からも自己実現することを求められているのでこうありたい、あるべき自分を自ら設定し常に他人とは違う自分に近づく努力をしている。それが成長を実感するということです。親が敷いたレールを走るわけにもいかないので、サラリーマンも気楽な稼業とはいかない。有名企業だから高給だからというより、自己実現するのにふさわしい会社かどうかが重要になってくるのです」

高校生の時に“人生設計ノート”を書いて実現しているドジャースの大谷翔平(29)は最たる例だが、その大谷ですら“通訳”でつまずいてしまった。

「そもそも10代で選んだ“あるべき自分”が正しいとは限りません。初期設定に無理がありすぎるかもしれない。かといって自分の能力を見極め、それまでの成績や学歴といったデータに沿って冷静に設定すると、努力はしても冒険はしなくなります。周囲が驚くような飛躍はないし、自分の可能性の芽を摘みかねません」(関修氏)

アナタの会社の新人クンはどうですか?

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