スペランカーもグーニーズも…意外に知らない「実は2が出ていた」大ヒットレトロゲーム

ファミコンソフト『スペランカーII 勇者への挑戦』

映画作品において「2作目は駄作が多い」なんて批評を聞いたことはないだろうか? それはゲームの世界でも同じで、『1』の大ヒットを受けて『2』が制作されたものの、ファンの期待に届かなかったゲームは少なくない。なかには、作られたことさえあまり知られず、ファミコン史のなかに埋もれてしまったゲームもある。

そこで今回は、前作の大ヒットの陰に隠れてしまった「実は2が出ていた」レトロゲームを紹介する。

■前作とまったく別物!? 『スペランカーII 勇者への挑戦』

まずは、『スペランカーII 勇者への挑戦』だ。

前作は、1985年アイレムから発売された横スクロールアクションのファミコンソフト『スペランカー』で、カセット本体についている発光ダイオードの赤いランプも懐かしい。プレイヤーは洞窟探検家・スペランカーとなり、洞窟最下層にある秘宝の山をめざす内容となっている。

スペランカーは“世界で最も貧弱な主人公”としても有名で、少しの段差で転落死、自分が仕掛けた爆弾の爆風によって爆死、コウモリのフンに当たって溶解死……など、本当に些細なことで死んでしまう。したがってゲームシステム的に死んで覚えて攻略を目指す、いわゆる“死にゲー”(当時その言葉はなかったと思うが)となっており、絶妙な難易度と中毒性で当時大人気となった。

そして『1』のヒットを受け、2年後の1987年に発売されたのがファミコンソフト『スペランカー II 勇者への挑戦』である。しかし“世界で最も貧弱な主人公”はライフ制となっており、良くも悪くも改善されてしまっていた。当時の流行りに合わせた方向転換だったのかもしれないが、それは一番の特徴を自らなくすものでもあり、前作ファンの期待を裏切ってしまう内容となってしまっていた。

グラフィックが綺麗だったり、アクションRPG風になっていたり、“徳”というオリジナルの概念を組み込んだりと、ゲーム単体の完成度は高かった。しかし、やはり『1』のような内容を期待した人たちの間では「これじゃない感」が漂う作品となってしまったようだ。

■難易度大幅アップでハードルが高いゲームとなった『源平討魔伝 巻ノ弐』

次に紹介するのは、PCエンジンソフト『源平討魔伝 巻ノ弐』だ。

前作の『源平討魔伝』は、1986年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたアーケードゲームで、鎌倉時代の源平合戦をテーマにした、独特の世界観が魅力の和風アクションゲーム。その後、X68000版やPCエンジン版、さらにはボードゲーム風になったファミコン版など、さまざまなハードに移植された人気のタイトルだ。

そして1992年に発売されたのが、PCエンジンオリジナルの続編作品『源平討魔伝 巻ノ弐』である。ストーリーもつながっていて、前作で倒したラスボス・源頼朝が“魔界日本”と呼ばれる別世界で復活しようとしており、主人公・平景清は頼朝復活を阻止するため旅立つという内容となっている。

前作の要素をきちんと取り入れており、丁寧に作られてはいるのだが、前作であった「横モード」や「平面モード」はなくなっており、キャラクターを大きく表示したバトルメインの「BIGモード」のみのゲームとなっていた。

そのためゲーム性が大きく変わり、難易度も大幅に上がってしまっていた本作。結果、プレイヤーにとってハードルの高いゲームとなってしまい、人気も前作と比べると振るわなかったようだ。

■原作映画との乖離を感じる『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』

最後に紹介するのは『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』だ。

前作である1986年のファミコンソフト『グーニーズ』は、同名のアメリカ映画『グーニーズ』を原作としたコナミの人気アクションゲームだ。プレイヤーは映画にも登場する人気キャラ・マイキーを操作し、フラッテリー一味に囚われた仲間たちを救出しながら、伝説の海賊“片目のウィリーの財宝”を見つけ出すという内容だった。

ゲーム内のBGMも秀逸で、映画の主題歌であったシンディ・ローパーの『The Goonies ‘R’ Good Enough(グーニーズはグッドイナフ)』が、ファミコンサウンドとして使われており、ポップなアレンジにワクワクしたことを覚えている。

そして続編として、1987年にファミコンソフト『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』が発売される。本作では、前作『グーニーズ』で崩壊したはずのフラッテリー一味が復活し、人魚のアニーや仲間たちが次々と囚われてしまう。プレイヤーは再びマイキーとなって、囚われた仲間たちを救うためダンジョンを探索するという内容になっていた。

しかしこの内容、実はゲームのためにコナミが独自に制作したものとなっている。元となった映画『グーニーズ』は、その後、続編が作られなかったためだ。

原作映画ではフラッテリー一味といった個性的な人物が登場するものの、決してファンタジー作品ではない。その一方、『グーニーズ2』は人魚のアニーや助けてくれる半魚人、さらには敵キャラのゴーレムや火を吐く怪獣など、かなりファンタジー要素が強めの内容となっている。

ゲームとして仕方ない部分もあるが、残念ながら原作映画のコアなファンほど、違和感を覚える内容となってしまっていた。

今回は、前作の大ヒットの陰に隠れてしまったレトロゲームを紹介してきた。どのタイトルも開発を疎かにしたというよりは、『1』からの修正点やオリジナル要素が仇となってプレイヤーの心を掴むことができず、残念な結果となってしまったように感じる。

ただ、いずれもゲーム単体としての完成度は高いので、『2』を知らなかったという人はぜひ一度プレイしてみてほしい。

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