【感染症ニュース】RSウイルス感染症全国定点0.58 2歳児40℃超える発熱でグッタリ… 母「1週間仕事に行けず」

乳幼児の感染を見逃さない!

国立感染症研究所の感染症発生動向調査週報2024年第12週(3/18-24)によると、全国のRSウイルス感染症の定点あたり報告数は0.58。前週の0.48から、およそ20%増加しています。関西地方や北海道・北関東などで流行がみられ、特に大阪府では、前週の1.84から、2.23に増加。周辺の奈良県・京都府など、近畿地方にも広がりを見せています。RSウイルス感染症は、乳幼児…特に生後1か月未満の子どもが感染すると突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあるなど、注意が必要な感染症です。

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今回は、2023年3月末に、お子さんがRSウイルス感染症と診断された方の経験談をご紹介します。

岡山県2歳

発熱7日間、咳、鼻水は4日目からでています。(現在進行形)
1日目金曜日
朝から不機嫌、夕方お迎え時保育園でも熱はないがよく泣いたと言われる。夜体が熱いので測ると40.1度。冷蔵庫にあった解熱剤を使うもぐずって眠れない。
2日目土曜日
一日中39〜40度発熱。朝小児科受診。コロナインフル陰性。普通の風邪と言われる。帰宅後も高熱でぐったり、解熱剤入れてもしんどそう。
3日目日曜日
一日中39〜40度発熱。昨日よりもさらにぐったりしんどそうなので当番医受診。RS陽性。咳がひどくなるなら明日小児科受診するよう言われる。
4日目月曜日
高熱は変わらず。先生の言うように咳がひどくなり夜中眠れなかったので小児科受診。鼻水もひどくなる。小児科先生曰く、一歳以上で入院が必要になることはまずない。水曜日まで熱が続くなら血液検査かなぁと言われる。
5日目火曜日
まだ高熱変わらず一日中ぐったり。咳鼻水ひどく眠れない。
6日目水曜日 (母が感染、咳鼻水頭痛、首のリンパが腫れて痛い)
朝、初めて37度台まで落ちる。少し笑顔が出て元気そうな顔になるが、午後から39度。咳鼻水ひどい。
7日目木曜日 (母しんどさピーク、リンパの腫れ、頭痛、咳ひどい)
朝熱なし。夕方から39度でぐったり。しんどそうなのと、水曜日越えても熱が出るので主人に夜間救急連れて行ってもらうが、RSが長引いてるだけで検査してくれず。
8日目金曜日 (母少し楽になる咳鼻水ひどいが、頭痛和らぐ)
朝熱なし。顔が普通に戻ったような元気な顔に見える。少し食欲も出てきて久々の「お腹空いた〜。」ピークは越えたのかなと思いつつ、夜になるとやはり39度発熱。保育園はずっと休んだまま、私も仕事に行けず1週間が過ぎました。明日再受診してみます。RSはひどいと聞いたことがありましたが、ここまでなるとは思っておらず、薬が無い分インフルより厄介だと思いました。1週間苦しむ我が子を見るのもですし、グズるのを抱っこするのも限界がありますよね。私も子どももいつから社会復帰できるかわかりませんが、一緒に乗り切りましょう。

感染症に詳しい医師は…

感染症に詳しい大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長の安井良則医師は、「大阪府では、RSウイルス感染症の報告が増加しており、翌13週以降も更に増え続ける見込みです。RSウイルス感染症は、増え始めると、勢いがなかなか収まらないのが特徴です。大阪府を中心に近畿地方に広がりを見せ始めていますが、いずれ全国に広がりをみせると予測しています。今回、お寄せ頂いた経験談について、直接診察したわけではないので、分からない部分もありますが、RSウイルス感染症の症状は、呼吸回数が増え、ぜえぜえと息をするなど、呼吸器系の症状が中心ですが、最近では、高熱が出るケースも耳にします。呼吸状態は、急激に悪化し、酸素が体内に取り込めなくなるため、人工呼吸器が必要なケースになることも珍しくなく、生後3-5ヶ月の乳児は、特に注意が必要です。今回は、2歳のお子さんとのことですが、初感染であれば、症状は長引くこともありますが、ピークは症状が出てから、3-4日目頃になることが多いです。1点、お母さんへの感染は、可能性はありますが、診断されていないようなので、よく分かりません。一般的に、大人が感染した場合には、症状はそこまで重くならないことが多いです。しかし、お子さんのRS感染に、お母さんの体調不良も加わり、大変だったと思います。お子さんも、既に回復していると考えられますが、お母さんにも、お大事にしてくださいと伝えたいです」としています。

RSウイルス感染症とは?

RSウイルス感染症は、RS(respiratory syncytial)ウイルスを病原体とする呼吸器の感染症です。RSウイルスは日本を含め世界中に分布しています。何度も感染と発病を繰り返しますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の人が1度は感染するとされています。症状としては、発熱や鼻汁などの軽い風邪のような症状から重い肺炎まで様々です。初回の感染時にはより重症化しやすいといわれており、特に生後6か月以内にRSウイルスに感染した場合は、細気管支炎、肺炎など重症化する場合があります。

乳幼児の感染には要注意!

RSは生涯にわたって感染を繰り返しますが、幼児期における再感染での発症はよくみられ、その多くは軽い症状です。また、成人では通常は感冒用症状のみです。初感染の乳幼児においても約7割は鼻汁などの上気道炎症状のみで数日のうちに警戒しますが、約3割では咳が悪化し、喘鳴、呼吸困難などが出現します。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、非定型的な症状を呈するために診断が困難な場合があり、また突然死につながる無呼吸発作を起こすことがあります。

RSウイルスの感染経路は?

RSウイルスは主に接触感染と飛沫感染で感染が広がります。RSウイルスに感染している人との直接の接触や、感染者が触れたことによりウイルスがついた手指や物品(ドアノブ、手すり、スイッチ、机、椅子、おもちゃ、コップなど)を触ったり、舐めたりすることで感染する接触感染。あるいはRSウイルスに感染している人が咳やくしゃみ、あるいは会話などをした際に口から飛び散る飛沫を浴びて吸い込むことによる飛沫感染で広がります。乳幼児に関しては、周りの大人やきょうだいから感染することが多く、風邪のような症状があるときには乳幼児になるべく近づかないなどの配慮が必要です。

引用
国立感染症研究所:感染症発生動向調査週報2024年12週
厚生労働省HP:RSウイルス感染症Q&A(令和6年1月15日改訂)、
大阪府感染症発生動向調査週報(速報)2024年12週

取材
大阪府済生会中津病院院長補佐感染管理室室長 安井良則氏

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