川栄李奈が影響を受けた大物俳優の存在を明かす「芸能界にいるのはご縁や運」引っ込み思案だった自身を回顧

川栄李奈 撮影/冨田望

2010年、AKB48研究生として公演したことをきっかけに、芸能界でのキャリアを築いてきた川栄李奈。’15年にAKB48を卒業して以降は、俳優として活躍。上白石萌音、深津絵里らとトリプル主演した’21年の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)、同年の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)をはじめ数々の作品に出演し、その実力を認められてきた。現在も動画投稿サイトなどで話題を呼んだ、ウェブライターでYouTuberとしても活動する雨穴による書籍の映画化『変な家』で、そのうまさを十分に見せている。そんな川栄さんのTHE CHANGEとはーー。【第4回/全4回】

芸能界で大事なことはご縁や運

「いま、すごく不思議なんです。芸能界にいるのが」

そう口にする川栄さん。アイドルグループAKB48のメンバーとして活躍し、俳優に軸を移してからも、休むことなく突き進んできた。菅田将暉が主演を務め、永野芽郁、上白石萌歌、今田美桜らと共演して社会への問題提起も話題になった『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日テレ系)や、トリプル主演を務めた連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)、現在は映画『変な家』が大ヒット公開中。さらに6月には映画『ディア・ファミリー』の公開が控える。挙げ始めたらキリがない。それでも川栄さん本人は「引っ込み思案で、発言とかもできないタイプだった」と話す。

しかしいまでは若き実力派として、各方面から声のかかる頼れる存在になっている。

「この世界(芸能界)って、ご縁と運が大事だと思っています。作品もですが役も自分に合っているかとか、こんなにたくさんの女優さんがいるなかで、自分を選んでもらえるというのは、やっぱり縁や運だなって。だからこそ選んでもらえることを目標に、日々の生活を送り、作品のなかで結果を残していきたいと思っています」

――縁だからこそ、次につながるようにひとつひとつを大切に、結果を残してきたと。役とも縁だとのことですが、あえて挙げるなら、自分の強みはなんだと思いますか?

「なんにでもなじめることかな。顔もわりと薄いですし。特別かわいいとかでもないですし。そこら辺にいそうなタイプだというのが、強みかなと思っています」

――そこら辺にはいないと思いますけども。ただ朝ドラでヒロインをやっていたとき、大阪での長期ロケ撮影の際に、街を歩いていても声をかけられなかったと聞きました。

「かけられないです。いまでも全くかけられないです。“なじむ力”がすごくあるのかもしれないです」

俳優の光石研から影響を受けた

――たくさんの方とお仕事されてきたと思いますが、影響を与えてくれた先輩をひとり教えてください。

「光石研さんがすごく好きです。光石さんにお会いできたのは、とても大きいと思っています」

――光石さんはデビューが『博多っ子純情』(1978)ですから、子役から俳優を続けている大ベテランですね。

「お芝居ももちろんですが、人間性が好きなんです。こんなに作品に出続けているのに、礼儀といったことを一番大切にされている感じがすごく好きです」

――ベテランの方や大御所の方ほど、腰が低かったりしますね。

「作品に出続けている方々は、もちろんみなさんお芝居がうまいですし、共通して優しいです。人間的に尊敬する部分がたくさんあって、わたしもそうありたいなと思います」

「なじむ力」がすごいのは、自然な演技力に長けている証だろう。そういった技術に慢心することなく、先輩の優しさや礼儀に尊敬のまなざしを向け続ける川栄さん。まだ29歳。自らの力で縁をつないで、ますますいろいろな役や作品を見せていってくれるに違いない。

川栄李奈(かわえい・りな)
1995年、2月12日、神奈川県出身。2015年にAKB48を卒業してほどなく、舞台『AZUMI幕末編』、翌年『戦国編』で主演を務めて好評を得る。その後連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK)『3年A組‐今から皆さんは、人質です‐』(日テレ系)大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(NHK)『家政夫のミタゾノ』(テレ朝系)などに出演。トーク番組『A-Studio』では10代目のアシスタントを務めた。ほか主な出演作に映画『亜人』『センセイ君主』『恋のしずく』『泣くな赤鬼』、ドラマ『夕凪の街 桜の国 2018』『青天を衝く』(NHK)『となりのナースエイド』(日テレ系)など。現在、映画『変な家』が公開中、舞台『千と千尋の神隠し』で千尋役を演じている。

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