忙しいあなたの味方。ドライブスルーの進化系サービスが広がるアメリカ--世界の一次情報からDXの光を照らす「World DX Journal vol.04」

コロナ以降、アメリカですっかりおなじみになった光景があります。
それは、お店の駐車場で車から降りずに商品を受け取る光景です。
小売店大手のウォルマートやターゲットをはじめ、多くの小売りチェーン店で導入されています。
このサービスは、カーブサイドピックアップ(curbside pickup)と呼ばれています。
オンラインで注文と決済をすませ、店舗前の駐車場に車を止めると店員さんが車まで運んでくれる仕組みです。

コロナ禍で目立つようになったサービス

カーブサイドピックアップ(駐車場での商品受け取り)は、2020-2021年頃から目立つようになって来ました。
「駐車場で商品を受け取るサービス」自体は、以前からありましたが、コロナを経てサービスが拡大した印象です。日本で接触を避けるようにと言われていたのと同じように、アメリカでもマスクをしている人が増え、小売店への入店も制限されました。お店からすると人が来てくれないと商売にならない。なのでお店の「外」で商品を渡すことでコロナ禍を生き延びてききました。多くのお店では、店の前に看板を立てて、「受け取りはコチラ」と案内していましたが、大手の小売りチェーンでは、駐車場の一角をカーブサイドピックアップ専用に変えるところが出てきました。

Curbside Pickupのメリットとは?

コロナ禍で役に立つのはわかるけど、コロナが終わったら、メリットはあるの?と思われるかもしれません。
まず、お店にはメリットがあります。小売り大手のウォルマートでは、2023年度の取り扱いが200万件だったそうです。このように、取り扱い件数の多さは、コロナが終わっても「車から出ないで商品を受け取れる」サービスへの需要はあると裏付けになります。

利用者にとっての一番のメリットは、「車の外に出なくていい」ことです。
家から車に飛び乗り、お店に到着。何もせずに「買い物」をしてそのまま家に帰ってこられるわけですから。

パジャマとまではいかないまでも、「部屋着」のままお店の前までいき、
商品を受け取ってそのまま帰ってこれるのです。

「ラク」なのは間違いないですが、子育て世代には頼りになる味方です。

アメリカでは、一定の年齢になるまで子供だけで留守番をしたり、でかけたりすることができません。州の法律で定められているところも多いです。

このため、「ちょっと買い物にいく」から留守番をしてて…ということが出来ないのです。外出は子供と一緒。しかも、子供が大きくなるまでチャイルドシートの設置が義務付けられています。シートベルトをつけてあげて、はずして、手をつないでお店に入って…とやることがたくさんあります。

商品を車に直接持ってきてくれるのは、とてもありがたいサービスなのです。

仕組みはとってもシンプル

では、カーブサイドピックアップは、どのような仕組みでしょうか?

とってもシンプルな4ステップ。

1.オンラインで注文・決済

2.指定の駐車スペースに到着したらお店に連絡

3.店員さんが車まで商品を届ける

4.商品を受け取って完了

たったこれだけです。

オンライン注文に慣れていれば、同じようにして購入して、
あとはお店の指定の駐車スペースに運転して行くだけです。

ターゲットHP

アプリの工夫

Curbside Pickupの実例(写真提供:原田朋)

カーブサイドピックアップの場合、アマゾンのようなオンラインショッピングとは少し違います。
違いのひとつは、商品を受け取る場所として、店内、デリバリー、の他に「curbside pickup」が追加されていることです。利用者にとって選択の幅が増えます。

もうひとつの違いは、到着予定をお知らせする機能がついていることです。
カーブサイドピックアップ専用の駐車スペースにつくまで、購入者がどこにいるかをアプリがお店側に教えてくれるのです。これでお店側は必要な準備ができるし、購入者も専用スペースについたらどれくらい時間がかかるのか、目安がわかるようになります。

まとめ

以前からあったものの、コロナ禍を機に目に付くようになった、「カーブサイドピックアップ」という「車から降りずに」商品を受け取れるアメリカのサービス。
ありそうでなかったサービスですが、既存のテクノロジーを少し工夫して利用者の利便性の向上をはかっています。

日本でも同じようなサービスが増えてくるかもしれませんね。

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