チューリップが開花 村の花を絶やさず 栽培面積減少も農家奮闘

大山を背に咲く村花のチューリップ

 日吉津村の村花として親しまれているチューリップが開花の時季を迎えた。かつて大山を背に一面に広がっていたチューリップ畑は減少の一途をたどっているが、農家らが「村の花を絶やしてはならない」との思いで栽培を続けている。7日には、チューリップをアピールする「チューリップマラソン」が村内で開かれる。

 村内の農家らでつくる「チューリップ友の会」などによると、同村では30~40年前には100アール近くの畑でチューリップを栽培していたが、安い輸入球根の増加や温暖化による環境の変化、高齢化などを理由に生産者が減少。現在では商業用の栽培はほとんどなく、村から委託を受けた農家3戸が栽培を続けており、日野川付近の同村富吉地区に広がる畑は約30アールにとどまっている。

 それでも見頃の時季には子どもや高齢者らがバスで鑑賞に訪れ、地元住民も開花を楽しみにしている。祖父の代から栽培を行っている同会の山西弘一郎代表(49)は「昔ほどのチューリップ畑はないが、なるべく絶やさないようにしていきたい」と思いを込める。

 村は毎年新たな種類の球根を配布し、農家らの手元に余った球根を買い取って栽培を支援。昨年度は球根1万800個を配布して約3万個を買い取り、本年度も球根導入費など224万円を一般会計当初予算に計上した。村建設産業課の担当者は「委託先の農家の確保も難しくなってきている。そろそろ新たな仕掛けも考えなければ」と話す。

 一方で、栽培されたチューリップの見頃に合わせて毎年開かれる「日吉津村チューリップマラソン」は一大イベントとして定着し、村ににぎわいをもたらしている。今年はコロナ禍を経て5年ぶりに通常開催される予定で、実行委事務局は「多くの方に来てもらい、日吉津村のことを知っていただければ」と期待した。

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