モディ印首相、3期目でGDP倍増目指す方針 ハードル高いとの声も

Sarita Chaganti Singh

[ニューデリー 4日 ロイター] - インドのモディ首相が3期目の政権構想の土台とする経済の主要目標が明らかになった。2030年までに国内総生産(GDP)を倍増させることなどを盛り込んだ政府の文書の内容を、ロイターが確認した。

モディ氏は今月から始まる下院総選挙で勝利し、続投することに自信を見せており、野心的な目標を掲げた形。既に現在約3兆5100億ドルのGDPを30年までに6兆6900億ドルに増やすために必要な計画を、5月までに取りまとめるよう関係各省に指示している。

5年前の2期目が始まった時点でモディ氏は、2023/24年度までにGDPを5兆ドルに膨らませると約束していたが、新型コロナウイルスのパンデミックによる混乱もあり、達成は事実上不可能になった。

しかしモディ氏は、3期目を務めることになれば、インドの経済規模を現在の世界第5位から第3位に押し上げて見せると「保証」している。

また1人当たりの国民所得も2500ドル前後から4418ドルに引き上げることを目指しているという。

ただこうした目標を実現させる上で必要な具体的な歳出案や改革措置は明らかにされていない。

独立系エコノミストのサウガタ・バタチャルヤ氏は、実質成長率が6─6.5%、物価上昇率が4.5%前後、通貨ルピーが対ドルで毎年1─1.5%下がり続ける展開になれば、今後7年のうちにドルベースの名目GDPは2倍にできると指摘。しかし問題なのは、現状ないしそれ以上の成長ペースを長期間維持するためには一連の構造改革が不可欠であり、それは非常に難しいとくぎを刺した。

元財務省高官の1人は、こうした文書に記された成長見通しは過去の推移に基づいて計算されたに過ぎず、真剣な改革や投資の計画が存在しない限り、意味をなさないとの見方を示した。

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