「ピーッピーッ」気象台に響く警報音 画面に走り寄る職員「これはやばいね」 偶然居合わせた記者が見た地震発生の瞬間

 那覇市樋川にある沖縄気象台の庁舎。「ピーッピーッ」。3日午前9時前、突然、地震の発生を知らせる警報音が鳴り響いた。約20人の職員がモニター前に走り寄る。「5、4、3、2、1」。大きな揺れが伝わるまでのカウントダウン表示を見守った。

 震源は台湾東部沖。刻一刻と情報が入り、職員が「これはやばいね」とつぶやく。偶然居合わせた記者は退室を促された。

 地震が発生すると、揺れは波となって地中を伝わる。秒速約7キロのP波が最初に届き、秒速約4キロと遅く揺れの強いS波が後から来る。

 気象庁は震源付近でP波を検知した地震計から送られてきたデータを基に計算する。沖縄気象台の担当者は「算出した地震の規模や予測震度などが緊急地震速報の発表基準に達した場合に発表する」と説明する。これらの処理は全て自動で瞬時に行われ、S波が伝わる前に緊急地震速報を発表することができるという。

 今回の地震では県内で2011年の東日本大震災以来となる津波警報も発令された。過去の事例や、コンピューターによる各地のシミュレーション結果を津波予報データベースに登録しており、地震の位置や規模を基に警報、注意報を出すかどうか判断する。

 3日に観測された津波の高さは、与那国や宮古で30センチ、石垣で20センチ。予想は最大3メートルだった。担当者は「断層が45度の角度でずれると最も大きな力が生まれる。最悪のパターンを計算すると、最大が3メートルだった」と説明する。

 津波は命に関わるため、地震発生から3分をめどに警報や注意報の発表を目指している。「高い精度を求めると発表時期が遅くなってしまい、避難が間に合わなくなる可能性がある」と解説した。

(社会部・垣花きらら)

緊急地震速報(警報)の仕組み

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