会社からの残業指示を無視していたら「解雇」と言われました。自分の仕事は終わらせていたのに「不当解雇」ではないですか? 正直納得できません

解雇するには一定の条件が決められている

会社が従業員を解雇するには「一定の条件」が決められており、会社に対して損害などを与えてないにも関わらずの解雇は認められません。

会社は、就業規則や労働契約書に解雇事由を明示しなければなりません。明示してあっても、客観的に合理的な理由を持っていて、社会通念上認められる状況が必要です。この解雇事由に該当する行動を労働者が起こした際には解雇ができます。

解雇の種類は「普通解雇」「整理解雇」「懲戒解雇」の3つがあり、残業拒否による解雇は普通解雇に該当するケースが多いです。

厚生労働省が、普通解雇に該当する例として挙げている中に、「著しく協調性に欠けるため業務に支障を生じさせ、改善の見込みがないとき」があります。36協定を使用者側と労働者側で結んでいる状態で、就業規則にも残業に関しての記載があると残業指示を無視していると解雇になる可能性がゼロではありません。

自分の仕事を終わらせている場合は不当解雇にならないの?

仕事においては、一人ひとりに任せられている業務量などが決められているため、自分が担当している分を終わらせているなら定時退社しても問題ないと考える人は多いでしょう。

しかし、就業規則などに緊急の業務や繁忙期などにおいて残業が発生する可能性がある旨が記載されていて、状況的に残業が必要な場面で残業を断り続けていると就業規則違反と判断されるかもしれません。

具体的な就業規則はそれぞれの会社において違いますが、社会通念上相当と認められる内容なら労働契約を結んだ時点で同意していると判断できます。

通常の業務時期なら、自分の仕事を終わらせていれば問題ないケースが多い一方、緊急事態や繁忙期の際には残業が求められる可能性がある点は把握しておきましょう。また、このような状態で残業を拒否していると、著しく協調性に欠けていると判断されるリスクもあるので、状況に合わせた判断が大切です。

正当な理由があるなら残業拒否しても問題ない

正当な理由があるなら残業拒否しても問題ありません。「体調不良で気分が優れない」「育児や家族の介護」「業務上必要がない残業」などが該当事項として挙げられます。これらに該当している状態で残業拒否をした結果として、解雇がいい渡された際には不当解雇に当たる可能性が高いです。

ただし、これらも「客観的に見て社会通念上相当かどうか」がポイントとなるので、自分では正当な理由があると判断しても、会社からすると解雇事由に該当する可能性があるかもしれません。

特に、業務上必要がない残業と自分が判断しても、会社は今後の業績を上げていくには必要な業務であると判断するケースも考えられるので注意が必要です。

まとめ

自分の仕事を終わらせている状態で残業指示を受けた場合でも、緊急事態や繁忙期などでは正当な理由がないと業務命令違反と判断される可能性もあります。

確かに、自分の仕事が終わっているなら残業したくないと考えるのは分かりますが、会社全体の状況なども含めた判断が大切です。解雇事由が客観的に社会通念上相当と認められてしまえば、自分の仕事が終わっていても解雇される可能性もあるでしょう。

出典

厚生労働省 しっかりマスター労働基準法 解雇編

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社