「定年退職したら少しのんびりしたい」と夫。そんなペースで再就職なんてできるのでしょうか?

定年退職後の就業率は伸びつつある

内閣府が公開している「令和5年版高齢社会白書(全体版)」の就業・所得の項目を見ると、令和4年(2022年)における60〜64歳の就業率は73%、65〜69歳の就業率は50.8%です。

2012年の就業率は60〜64歳が57.7%で、65〜69歳は37.1%ですから、定年退職後の就業率は伸びていることが分かります。労働力人口の割合も、65歳以上は13.4%となっており、10年前の9.3%と比べて増えています。

では、雇用形態はどのようになっているのでしょうか。内閣府の「令和5年版高齢社会白書(全体版)」によると、60歳以降は非正規雇用が多いのが特徴です。

男性の非正規雇用者は、55~59歳だと11%にとどまっていますが、60~64歳は45.3%、65~69歳は67.3%と大きく上昇します。非正規雇用の割合が多い理由を裏付けるデータは、次で紹介していきます。

60代が希望する働き方とは?

公益財団法人産業雇用安定センターは「シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(調査時期:2023年11月、調査対象:現在求職活動中の60代の男女1000人)を行いました。

希望する労働日数についての調査では、男性の60〜64歳でもっとも多かったのは週5日で45.3%ですが、65〜69歳になると2〜3日がもっとも多く、全体の37.3%を占めています。次に多いのは週4日で、31.0%です。

職探しで重視するものでは、60〜64歳の男性は「仕事内容や職場の働きやすさ」がもっとも多く、38.7%となっています。65〜69歳でもっとも多いのは「就労日数・就労時間」です。

「これまでの職業経験・知識を活かせる」も多数派ではありますが、無理をしない働き方を重視する人が多いことがうかがえます。

体を休めてリフレッシュすることも大切

組織で働いていると、思うように長期休暇を取れないこともあります。日々忙しく業務をこなしてきた人にとって、定年退職後は自分の趣味や旅行にあてるよい機会です。転職活動も大切ですが、すぐ活動を始めればよい職場が見つかるとはかぎりません。

それより、体と心をゆっくり休めてリフレッシュしておくことも大切です。定年退職金は金額も大きなものになりますから、旅行などに多少使うのも悪くはないでしょう。

これまで、家族との時間を十分取れなかった人なら、家族と余暇を楽しんでおくのもよい選択です。また、時間にとらわれない生活をすることで、新たな気づきや自己分析にもつながります。

定年退職後は少し余裕を持った働き方を

定年後の再就職は、非正規雇用の割合が高く「無理のない働き方」を求める人が多いといえます。退職後、すぐに転職活動を始めたところで、自分の希望に合った仕事が見つかるとはかぎりません。

それより、これまで実現が難しかったことに時間を割き、少しのんびりしておくのもいいでしょう。自己分析やリフレッシュにあてる時間を持つのも大切なことです。

出典

内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)1就業・所得
公益財団法人産業雇用安定センター 60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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