大谷翔平の恩師・栗山英樹氏 違法賭博騒動で凄まじい憔悴ぶり

師弟関係の栗山英樹氏(左)と大谷翔平

ドジャースの大谷翔平投手(29)は3日(日本時間4日)の本拠地でのジャイアンツ戦の7回に移籍後初アーチとなる今季1号を放った。地元ロサンゼルスは祝福ムードに包まれた中、元通訳・水原一平氏(39)による違法賭博問題が古巣を直撃している。かつて在籍した日本ハムの内部では“完全タブー”として扱われる厳戒態勢。それだけではなく大谷の恩師であり、水原氏とも固い絆で結ばれていた栗山英樹チーフ・ベースボール・オフィサー(62)が受けたショックは大きく憔悴ぶりも激しいという。

違法賭博にのめり込んだ水原氏が莫大な借金を抱え、大谷名義の口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)を許可なく送金した疑惑。騒動が勃発してからおよそ2週間が経過しても真相はやぶの中だが、大谷と水原氏が在籍した日本ハムにも“飛び火”していた。

騒動が発覚して以来、球団側にはさまざまなメディアから問い合わせが殺到したという。しかし、球団関係者によれば「米国側の捜査も終わっていない状況で話せることは何もない」と全てシャットアウト。そればかりか「球団内でもこの話題には誰も触れないし、触れられない」と重苦しい雰囲気が漂う中、誰もが口を閉ざしている状況だそうだ。その中でも「一番ショックを受けているのはやはり栗山さん…」と気遣う声が上がっている。

栗山氏は2012年に日本ハムの監督に就任し、翌13年に花巻東高から直接メジャー挑戦を目指していた大谷を翻意させて入団にこぎつけた。その後の「投打二刀流」による育成は周知の通りだが、時を同じくして通訳として入団したのが水原氏だった。そこから5年間、主にメンドーサやレアードら外国人選手の通訳として苦楽をともにしてきた。

大谷のエンゼルス移籍に伴い、専属通訳として日本ハムを離れたものの栗山氏との信頼関係は継続。昨年3月に世界一に輝いたWBCで侍ジャパンを率いた栗山氏がヌートバー(カージナルス)を招集するための交渉役とするなど、通訳の枠を超えた絆で結ばれていた。ところが、水原氏によるまさかの背信行為で深く心を痛めているという。

別の球団関係者によれば「大谷と同様に深い信頼関係を築いていた水原通訳の信じられない不祥事による解雇で、栗山さんは相当なショックを受けている。先日の高校野球の選抜大会で甲子園を訪れた際にも、この件については触れてはいけない雰囲気でした」と声を落とした。

日本ハムを卒業した選手や首脳陣、コーチが別のステージで活躍してくれることは球団にとっての喜び――。そんな理念を持つ球団だけに、世界最高峰のMLBの舞台で名実ともにトッププレーヤーとなって活躍する大谷はもちろん、専属通訳として公私にわたってサポートする水原氏もまたファイターズにとっての誇りでもあった。

栗山氏にしてみれば、どこに出しても恥ずかしくない“名コンビ”が前代未聞のスキャンダルで空中分解してしまった格好だ。その心中はいかばかりか。

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