「甘過ぎる」「真相解明を」 自民・裏金事件処分に、県民冷ややか 「正直な政治」求める声

裏金事件を受けた自民党の処分を伝えるデジタルサイネージ=4日午後7時50分、宇都宮市宮みらい

 「甘過ぎる」「真相解明が不十分だ」。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、党が関係議員ら39人の処分を決めた4日、栃木県民からは批判の声が相次いだ。処分に当たっては茂木敏充(もてぎとしみつ)幹事長が「国民の批判の声を踏まえて厳正に」と強調していたが、政治不信の「幕引き」には程遠く、依然厳しい視線が注がれた。

 「処分は一時的で、時間がたてば離党した人も戻るだろう。それで同じことが起きては意味がない」。処分を受けた簗和生(やなかずお)衆院議員の地元3区。大田原市本町2丁目、無職小倉一夫(おぐらかずお)さん(78)はそう切り捨てた。

 「年金で暮らす立場で考えたら何百万、何千万円という金を適正に管理しない金銭感覚はどうかしている」と憤りをあらわにした。

 栃木市河合町、会社員竹澤由紀江(たけざわゆきえ)さん(51)は「金額に関係なく処分するべきではないか」と、政治資金収支報告書への不記載額で線引きした処分の在り方に疑問を呈した。裏金事件に関わった議員に対して「ずるい、がっかりの一言。全員が辞職して議員という立場を離れるべきだと思う。私腹を肥やすのではなく、国民のために尽力してほしい」と語気を強めた。

 宇都宮市戸祭3丁目、久保井義久(くぼいよしひさ)さん(74)は「処分で幕引きしようとしているように見えるが、真相解明が不十分だ」と党の調査自体にも不満を漏らした。「膿(うみ)を出し切らなければ政治は変わらない。このままでは日本の未来が心配」と憂えた。

 同市一の沢2丁目、高校3年遠藤彩音(えんどうあやね)さん(17)は、政治倫理審査会に出席した自民議員の説明に「隠さずに言えばいいのに、言い訳しているように感じた」。処分対象外となった岸田文雄(きしだふみお)首相に対しては「何らかの責任を取るべきではないか」と指摘した。

 来年1月に18歳となり、選挙権を得る。「処分してもキックバックの事実は消えない。国民の代表として、もう少し正直に政治をしてほしい」と求めた。

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